文献詳細
文献概要
特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 食道手術
心嚢を損傷した
著者: 鶴丸昌彦1 秋山洋1
所属機関: 1虎の門病院消化器外科
ページ範囲:P.749 - P.749
文献購入ページに移動 心臓はその大部分を心嚢(心外膜)に包まれており,通常,食道とは気管分岐部直下より横隔膜まで,すなわち,Im,Eiのほぼ全長にわたつて相接している.心嚢と食道との間には疎性結合織が介在しており,正しい層で剥離されれば,まず心嚢を損傷することはないが,たとえ損傷しても,全く恐れるに足りない.癌が心嚢に浸潤している場合,あるいは,近接していて浸潤が疑われる場合は,むしろ積極的に合併切除すべきである.
心嚢損傷,もしくは合併切除した場合は縫合閉鎖する必要はなく,むしろそのままopenとしておくのがよい.例えば開心術後のドレナージ,あるいは心嚢水の貯留に対して,心嚢と右胸腔との間にwindowを開けて心嚢開窓を行うことがある.心嚢内の貯留液をいつたん右胸腔に誘導してそれを胸腔ドレーンより引いたり,胸膜の再吸収能力を利用したりするためである.
心嚢損傷,もしくは合併切除した場合は縫合閉鎖する必要はなく,むしろそのままopenとしておくのがよい.例えば開心術後のドレナージ,あるいは心嚢水の貯留に対して,心嚢と右胸腔との間にwindowを開けて心嚢開窓を行うことがある.心嚢内の貯留液をいつたん右胸腔に誘導してそれを胸腔ドレーンより引いたり,胸膜の再吸収能力を利用したりするためである.
掲載誌情報