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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 食道手術

心嚢を損傷した

著者: 鶴丸昌彦1 秋山洋1

所属機関: 1虎の門病院消化器外科

ページ範囲:P.749 - P.749

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 心臓はその大部分を心嚢(心外膜)に包まれており,通常,食道とは気管分岐部直下より横隔膜まで,すなわち,Im,Eiのほぼ全長にわたつて相接している.心嚢と食道との間には疎性結合織が介在しており,正しい層で剥離されれば,まず心嚢を損傷することはないが,たとえ損傷しても,全く恐れるに足りない.癌が心嚢に浸潤している場合,あるいは,近接していて浸潤が疑われる場合は,むしろ積極的に合併切除すべきである.
 心嚢損傷,もしくは合併切除した場合は縫合閉鎖する必要はなく,むしろそのままopenとしておくのがよい.例えば開心術後のドレナージ,あるいは心嚢水の貯留に対して,心嚢と右胸腔との間にwindowを開けて心嚢開窓を行うことがある.心嚢内の貯留液をいつたん右胸腔に誘導してそれを胸腔ドレーンより引いたり,胸膜の再吸収能力を利用したりするためである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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