icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 食道手術

皮下気腫が著しい

著者: 鶴丸昌彦1 秋山洋1

所属機関: 1虎の門病院消化器外科

ページ範囲:P.750 - P.750

文献購入ページに移動
 皮下気腫は術中トラブルというより術後トラブルというべきであるが,多少の皮下気腫はめずらしくはない.しかし,帰室後,時間の経過と共に次第に増加する場合は,その原因を追求し,原因をすみやかに除去しなければならない.皮下気腫は胸腔内のairが呼吸や咳嗽,怒嘖運動で開胸創を介して皮下へ押し出されたものである.
 通常,胸部食道癌切除再建術は,右開胸と開腹および頸部と3ヵ所からapproachされ,それぞれは,前および後縦隔を介してつながつていると考えなければならない.すなわち,皮下気腫の原因となるairがこれらのいずれから入つてもよいわけで,1)頸部の吻合部付近にペンローズなどのドレーンを挿入している場合は吸気時に,このドレーンを介してairを吸い込んでいる可能性,2)腹腔にドレーンが挿入されている場合は,ここよりairが吸い込まれ,横隔膜食道裂孔部を通じて(これは通常縫合閉鎖されているはずであるが,閉鎖が不完全であつた場合)胸腔内にairが入るか,あるいは,胸骨後経路で再建した場合はこのルートを通り,頸部より更に縦隔を通つて胸腔内へairが吸引される可能性,3)右胸腔に挿入された胸腔ドレーンを挿入部の皮膚との間よりairが吸引されている可能性,4)胸腔ドレーンのコネクターよりの可能性,5)術中,肺損傷に気ずかずに閉胸し,胸腔ドレーンが十分効いていない可能性,などが皮下気腫の原因として考えられよう(図).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?