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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胃・十二指腸手術

脾臓を損傷した

著者: 前田昭二1 湯浅鐐介1

所属機関: 1前田外科病院外科

ページ範囲:P.758 - P.758

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 胃切除中の脾臓損傷は大網の結紮,切離を上方に向つて行う時,脾の前縁Margo arcusの下の方の突起部が大網の胃脾靭帯Pars gastro-liena—lisと共に過度に牽引され被膜が脾実質の小部分と共に剥離する形が最も多い.大網の処理に熱中する余り,その先の脾との接合部を意識しないと広範囲胃切除の場合にこの損傷は珍らしくない.
 損傷程度の軽い場合は,まず損傷した部分の凝血を静かにとり除き,暫くガーゼで軽く圧迫した後剥離した脾実質をそつと元の位置に戻す.近くの大網に余裕があればその上に乗せ,利用出来ない時はSpongelやOxycelの小片を乗せてからガーゼ数枚を折りたたむ様にして圧迫する.そこは暫くそのままにして別の場所の手術操作を行い,なるべく時間をおいて閉腹前にガーゼを手前から順に丁寧に取り除くと殆んどの症例は止血している.直接創面をガーゼで押さえると,止血後ガーゼをとる時に再び創面剥離,出血が起こるおそれがあるので必ず何か介在物をおくべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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