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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 小腸・大腸手術

アンギオ上,小腸の出血が確認された 開腹時出血点を如何に見つけるか

著者: 牧野永城1

所属機関: 1聖路加国際病院外科

ページ範囲:P.777 - P.777

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 出血源がわからずに開腹しなければならないことは,外科医が少なからず経験することである.術前の血管造影で,出血源が小腸と判明しているときは,かなり恵まれているといえよう.しかしそれでも開腹して,出血源が,視診や触診上はつきりしないことはあり得るし,そのときはかなり当惑する.小腸からの出血で知られる疾患としては,メッケル憩室,腺癌,悪性リンパ腫,平滑筋腫,クローン病,そしてまれに血管腫や動静脈瘻などがあるが,たいていのものは,触診や視診でその所在が判明する.判明しにくい場合があり得るものとしては,小さな平滑筋腫,動静脈瘻,血管腫などになろうか.
 このようなときに最も大切なことは,血管造影上でみられた出血部位が,小腸の一体どの辺にあたるかを,フィルムの上で詳細に判読することである.術前におおよその見当をつけておくのはもとより,開腹してからも,実際の血管の走行を確かめながら,血管造影所見と対比しながら判読し,おおよその範囲を作図して,その辺に腸の縦切開を加え,中を調べてみる.その際さらに口側と肛門側を大腸ファイバースコープを使つて調べてもよいだろう,最終的にはつきりしなければ,血管造影像と対比して,さらに部位を検討し,その辺を中心に30〜40cm位切除することも仕方あるまい.切除した腸管は,吻合する前に,直ちに開いて出血源を確かめ,見つからぬときはさらに切除範囲を延長しなければなるまい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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