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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 小腸・大腸手術

直立動脈の拍動がわかりにくい,吻合部をどこに選ぶか

著者: 牧野永城1

所属機関: 1聖路加国際病院外科

ページ範囲:P.778 - P.778

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 血圧が術中低下しているために拍動がわかりにくいこともあろうし,血流が側副路を遠く迂回してくるために,血流があつても拍動がわかりにくい場合もあろう.あたたかい食塩水に浸して軽くしぼつたガーゼを腸管部にしばらくあてていると拍動がみえてきたり腸管壁の色がよくなつてきたりして判断しやすくなることがある.
 私が最も依存するのは,腸管の色で,健常部腸管と変らぬピンク色をしていれば,まず吻合部に選んで失敗することはない,長い間の血行遮断に対しては,漿膜側の方が粘膜側より抵抗が強いといわれ,私の経験でも,絞扼性イレウスの手術などで,絞扼を解いた後など,何となく他より色が悪いと思われる腸管でも漿膜の血管だけ赤く見えることがある.このようなときこの腸管を残すと,腸管壁は辛うじて生き残つても粘膜側が壊死脱落してしまうことがあるのではなかろうか.私の方針としては,色が悪く疑わしい場合には,どちらかというと思い切つて切除することにしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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