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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 小腸・大腸手術

マイルズ手術で前立腺を傷つけた

著者: 牧野永城1

所属機関: 1聖路加国際病院外科

ページ範囲:P.783 - P.783

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 直腸前面の剥離は,直腸膀胱窩または直腸子宮窩の腹膜を切開し,それぞれの臓器の間膜をつくる線維性の筋膜状組織を分けて入る.Denonvilli—ers’fasciaの前後の間に入るのだが,実際上そう明瞭なものではない.この前葉を剥離すると,前立腺の薄い被膜を傷つけやすい.この層さえ誤まなければ,腹腔側の操作で前立腺からの出血に悩まされることはまずない.またこの部分の剥離は,鈍的に行えない部分は,直視下の剥離は無理なので,会陰部から行うことが多くなる.
 会陰部からの操作では,前立腺後下面,腟後壁との間の剥離は鋭的にしかできないため,その辺の静脈叢や前立腺実質からの出血を来して,なかなか止血できず困惑することがある.前立腺実質から出血させると,焼灼しても,縫合結紮しても止めにくいことは確かだが,根気よくていねいにこれを繰り返すと必ず止血する.もしどうしても止らなければ会陰創を開放創にしてタンポンでもする他あるまいが,そこまで必要とした症例を筆者は経験したことがない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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