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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 肝臓手術

肝静脈からの出血

著者: 山崎晋1

所属機関: 1国立がんセンター外科

ページ範囲:P.791 - P.792

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 肝切除の肝離断時出血は,肝動脈・門脈の輸入血管と,輸出血管である肝静脈からの出血がある.肝動脈・門脈は肝門部など中枢側で血流遮断が容易であり,また肝離断面での出血点がよく見えるので,止血処置が容易である.これに対し肝静脈は,グリソン鞘のようなしつかりした支持組織がないので,肝離断面から肝静脈の切断端が引込んでしまい,出血点の確認がむずかしい.出血の様態も圧は低いが,流量は多く,対応を誤ると出血量は多量になる.
 肝静脈からの出血を少なくするためには,まず操作を加える肝葉をよく授動しておき,術者か第一助手かが,いつでも肝静脈と下大静脈の合流部を用指的に圧迫できる態勢をととのえておく.次に肝離断は肝静脈沿いに行い,肝静脈の側壁がいつも良い視野の中で走行を確認しつつ操作をすれば,大きく損傷することはなく,たとえ損傷が生じても亀裂部の中枢・末梢側を用指圧迫し,ゆつくりと正しく血管縫合糸で修復することができる.肝離断中の出血を節約するには,肝門部で肝固有動脈や門脈右枝を遮断し,かつ右肝静脈も遮断しておくのが有効である.右肝静脈だけのtap—ingで肝動脈・門脈を開けておくと欝血が生じ,かえつて出血が多くなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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