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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 肝臓手術

右の副腎静脈を損傷した

著者: 山崎晋1

所属機関: 1国立がんセンター外科

ページ範囲:P.797 - P.798

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 右副腎は下大静脈の右側壁に接している.肝切除で肝右葉を授動するときや,さらに進んで短肝静脈切断の際に,術野に入つてくる.肝右葉と右副腎・下大静脈の関係は,図のように,肝切除の観点からは2つに分けられる.Aに示したように,右副腎と肝とが癒合していない場合(筆者の印象では約7割程度)は,副腎に触れる必要はなく,なんら問題はない.しかしBのように肝と癒合している症例では,肝から副腎を遊離させなければならない.副腎静脈は副腎上極から短い距離をもつて下大静脈に吻合している.肝と副腎との剥離の際この副腎静脈を損傷したり,結紮・切断せざるを得ないことがしばしばある.
 右副腎の脈管は,動脈は腎動脈系と下横隔膜動脈系との2大系統があり,その他にも系統不明の細小動脈が,副腎周囲から多数入り込んでいる.これに反し多くの外科手術書には右副腎の輸出静脈は,一本の比較的太い「副腎静脈」のみの記載がない.しかし解剖学の成書(人体局所解剖図譜,西成甫監修,金原出版)には,V. suprarenalis superior(これが通常「副腎静脈」と呼ばれている)の他に,V. suprarenalis inferiorという,右副腎下極から右腎静脈方へ向かう静脈が示されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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