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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胆・膵手術

胆道造影で石があるがとれない

著者: 松代隆1 長嶋英幸1

所属機関: 1東北労災病院外科

ページ範囲:P.803 - P.803

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 胆石の所在部位,つまり,胆石が胆管切開口より十二指腸側にある場合と肝内胆管の場合で対処する方法は異なる.
 胆石が十二指腸側にある場合には1)胆石匙を用いる,2)胆道鏡による切石,3)経十二指腸的総胆管切石術がある.いずれの場合も,十二指腸と膵頭部を後腹膜腔より十分に授動しておくことが肝要である.まず,膵頭部を左手ではさむようにし,胆石匙を胆石の後面に誘導し,胆石をすくうようにとり出す.この方法で胆石を除去できない時は胆道鏡を用いる.胆道鏡による切石に際しては,われわれは第一にバルーン付カテーテルを用いている.バルーン付カテーテルを胆道鏡下に胆石を越えて挿入した後,バルーンをふくらまし,胆道鏡で観察しながらバルーンとともに胆石を除去する.乳頭膨大部に胆石が嵌頓し,前述の方法が不可能な時は経十二指腸的切石術を行つた方が安全である.胆管切開口よりの切石に固執し,膵頭部に暴力的操作を加えると重篤な術後膵炎の発症をみることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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