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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胆・膵手術

総胆管を損傷した

著者: 松代隆1 山本協二1

所属機関: 1東北労災病院外科

ページ範囲:P.804 - P.805

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 総胆管損傷は胆嚢摘出時に発生することが最も多い.とくに胆嚢頸部より三管合流部にかけて炎症や癒着が強い場合に発生する.このような場合には胆嚢頸部から胆嚢管の処理に先がけて総胆管および総肝管の走行をまず明らかにした方が安全である.すなわち,肝十二指腸靱帯の漿膜を三管合流部付近で2〜3cm縦に切開する.ツッペル(われわれは通常ガーゼを丸めた小片をつくり,これを鉗子の先にはさんでツッペルと呼んでいる)で肝十二指腸靱帯を分けていくと簡単に総胆管を露出できる.この方法により三管合流部付近の胆管の走行を完全に視野にとらえた後に胆嚢管の剥離にうつる.三管合流部付近から肝十二指腸靭帯まで瘢痕性に癒着しており前述の操作が困難な時は胆嚢を頸部まで切開し,ゾンデで胆嚢管の走行,できれば総胆管の走行まで確認してから胆嚢管の剥離にうつる.
 手術中に胆管損傷に気付いて直ちに修復手術を行えば,その手術手技は容易であるばかりでなく,後遺症を残すこともない.胆管壁の損傷創が比較的小さい場合には単に1〜2針4-0 Dexon糸で縫合してもよいが,創を縦方向に切開し,T字管を挿入した方が安全である(図a).損傷創が大きい時は辺縁をととのえた後に横に縫合する.この際T字管は縫合部から少し離れた部位から挿入する(図b).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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