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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胆・膵手術

総胆管の損傷で長さ不足で端々吻合ができがたい

著者: 松代隆1 長嶋英幸1

所属機関: 1東北労災病院外科

ページ範囲:P.806 - P.807

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 総胆管の偶発的損傷は胆嚢摘出時に発生することが多い.しかし,設問のような損傷は三管合流部の処理をよほど盲目的に行わないかぎり発生しないと思われる.いずれにしろ,できるだけ総胆管の端々吻合を行うよう努力すべきである.このために,十二指腸および膵頭部を広く後腹膜腔より授動する.この操作で総胆管がもち上がり,端端吻合ができることが多い.著者には設問のような経験がないので,ここでは交通外傷後7日目に胆汁性腹膜炎の診断で開腹した総胆管完全離断の症例の端々吻合に成功した術式を紹介する.
 20歳の男性である.受傷後7日目に汎発性腹膜炎の診断で当院に転送された.直ちに開腹し,腹腔内に充満した胆汁様腹水約3,000 mlを吸引した.総胆管は確認できなかつた.萎縮した胆嚢に生食水を注入し,三管合流部より約3cm十二指腸側で総胆管が完全に離断されていることを確認した.しかし,十二指腸側断端は確認できなかつた.そこで,十二指腸および膵を後腹膜腔より授動した後,十二指腸を切開し,Vater乳頭より逆行性に5号ネラトンを挿入し断端を確認した.総胆管は両断端をも5号ネラトンがかろうじて通る太さであつた.両断端を新鮮創とした後,乳頭前壁に約1cmの乳頭切開を加え,外径4mmの栄養チューブをVater乳頭より挿入してスプリントとし,両断端をDexon糸で4針単に引きよせるように固定した(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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