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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胆・膵手術

胆嚢動脈を切つて断端が奥にはいつてしまつた

著者: 松代隆1 長嶋英幸1

所属機関: 1東北労災病院外科

ページ範囲:P.809 - P.809

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 胆嚢管より始める胆?摘出術は最初に胆嚢管,胆嚢動脈を処理するのでその後の操作を出血をみないできれいにすすめうる.しかし,三管合流部が深部にあり,胆嚢が腫大している場合や癒着の強い時は最初からこの部に手術操作を加えることは副損傷の危険が大きい.そのような場合は胆嚢底部より胆嚢の剥離を進めると,胆嚢動脈や胆嚢管の種々の異常などを確認でき,これらを損傷する危険がきわめて少ない.また,胆嚢動脈切離に先立ち肝十二指腸靱帯の漿膜を開きこれを胆嚢の漿膜切離縁と連絡させ,総胆管ならびに三管合流部をツッペルで剥離すると多くの場合胆嚢動脈が遊離される.胆嚢動脈は胆嚢に接して切離するよう心がけるべきである.胆嚢動脈は胆嚢頸部の左側にある前哨リンパ節(Sentinel gland)の直下を通ることが多いので,これを指標として操作をすすめてもよい.
 胆嚢動脈を損傷すると,手術野がせまく,しかも深部のため止血が困難なことが多い.このような場合,止血鉗子を用いて盲目的に止血を試みることは絶対に行つてはならない.肝動脈をも損傷して大事に至ることがあるからである,まず,図のように左示指と中指をウィンスロー孔に入れ,母指との間で肝十二指腸靱帯の中を走る固有肝動脈を圧迫する.固有肝動脈は総胆管の左側を走るので,この部を中心に指ではさみつけると出血は制御される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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