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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胆・膵手術

ミリッジで右肝管を傷つけた

著者: 松代隆1 長嶋英幸1

所属機関: 1東北労災病院外科

ページ範囲:P.813 - P.813

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 右肝管損傷による合併症として発生する可能性のあるのは胆汁性腹膜炎と出血である.したがつて,これらに対する対策が必要となるが,合併症の発生は損傷部位により異なる.すなわち,肝外に位置する右肝管の損傷であれば胆汁性腹膜炎は必発の合併症であるし,肝内胆管の損傷はミリッジが肝臓を貫通しないかぎり腹膜炎は発生せず,出血に対する対策を考えればよい.
 肝外に位置する右肝管を損傷した時は損傷部を縫合しなければならない.漿膜側より4-0 Dexon糸(針つき)で結節縫合を行う.術後の胆管狭窄を防ぐため横に縫合した方がよい.その後総胆管切開部から右肝管の損傷部をこえて,その太さに見合うT字管を挿入する.T字管は一側を切り落してL字形とし,右肝管の縫合部を越えて1cmの長さになるように調節してから,そのままの形でスプリントとして挿入する(図).その後T字管よりの術中造影を行い,大きな胆汁の漏出のないことを確認しておいた方が安全である.必ずウインスロー孔にドレナージをおき,術後の胆汁漏出に備える.術後ドレーンより胆汁の漏出を認める時はT字管を5cmH2Oの低圧で持続吸引すると胆汁漏出は数日でみられなくなる.T字管は最低一カ月は入れておいた方がよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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