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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胆・膵手術

炎症が強くて胆嚢管の処理が困難

著者: 松代隆1 山本協二1

所属機関: 1東北労災病院外科

ページ範囲:P.814 - P.815

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 急性胆嚢炎を合併した時の早期手術の場合には胆嚢全体が三管合流部まで炎症性,浮腫性に肥厚しており,胆嚢管の走行が確認できないことが多い.急性炎症期には胆嚢および肝十二指腸靱帯の漿膜を切開すると中はそれ程瘢痕性変化はなく,ッッペルで比較的容易に総胆管や胆嚢管の走行を確認できる場合が多い.胆嚢炎を合併した症例の胆嚢摘出術は底部より行つた方が安全である.胆嚢床より胆嚢体部を剥離した後は胆嚢漿膜の切開を肝十二指腸靭帯までのばすと同時に三管合流部を中心に肝十二指腸靱帯の漿膜をも縦に2cmほど切開する.ここで,まずツッペルで総胆管と総肝管を露出させる.その後さらにツッペルで胆管を損傷しないように胆嚢管を追跡する.この際,左の示指および中指をウインスロー孔に挿入し,この上に胆嚢管,総胆管をのせるようにしてツッペルで周囲組織より剥離する.急性炎症合併時には出血が多いので,細い血管でもそのつど結紮切離を行う.
 胆嚢膿腫あるいは水腫,萎縮胆嚢を合併した症例では三管合流部付近は瘢痕性に肥厚し,胆嚢管の処理が困難なことがある.このような場合も,まず,前述の操作を試みるべきであるが,肝十二指腸靱帯にも瘢痕化が及んでおり,総胆管の確認が困難なことがある.胆嚢周囲の解剖学的関係が不明で手術操作が困難と思われる時は,躊躇せず胆嚢を開いて,胆嚢内腔と周囲組織との関係を注意しながら操作をすすめるのが,副損傷を防ぐコツである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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