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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胆・膵手術

再々手術で癒着が強く胆管へ到達できない

著者: 松代隆1 長嶋英幸1

所属機関: 1東北労災病院外科

ページ範囲:P.816 - P.817

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 Maingotによれば再手術時の胆管露出法として次のように記載されている.試みるべき方法と思われる.腹壁との癒着を剥離後,上行結腸および右結腸曲を肝より?離すると同時にこれを内下方にひき下げるようにする.ついで胃および十二指腸をていねいに肝下面より剥離し,これを下方に圧排すると肥厚した肝十二指腸靱帯が露出される.ここで,十二指腸および膵頭部を下大静脈さらには大動脈がみえるまで十分に後腹膜腔より剥離する(図1).総胆管の確認にはいわゆる総胆管リンパ節がその指標となる.このリンパ節は膵頭部の直上で総胆管が膵頭部と交叉する位置に存在する.多くの場合はこの方法で総胆管を確認できるので,あとは肝側に向つて総胆管を追跡すればよい.
 上部胆管に狭窄があり総胆管の確認が困難な時は胆管を穿刺して確認する方法がある.この場合も十二指腸および膵頭部を後頭部を後腹膜腔より授動するまでの手順は同じである.膵頭部の後方よりウインスロー孔に左手を挿入し,左母指との間に肝十二指腸靱帯をはさむようにして,固有肝動脈の拍動をたよりにその位置を確認し,遊離する.できれば門脈本幹も剥離しておいた方が安全である(図2).ここで肝十二指腸靱帯を穿刺しながら胆汁が吸引される部位を検索する.緑色胆汁が吸引されれば狭窄部の上部の胆管と考えてよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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