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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 肺・縦隔手術

肺静脈の結紮糸がはずれてしまつた

著者: 長田博昭1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学第3外科

ページ範囲:P.847 - P.847

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 普通十分な切りしろを作つて行う肺静脈の切断も,その後に結紮糸のはずれる場合がある.中枢側の場合は左房からの大量出血で緊急事態となり末梢側の場合も,特に肺動脈の処理が未だ行われていないと出血は大量となる.
 質問は「既にはずれたからどうするか述べよ」ではあるが,どうしても予防措置に触れない訳には行かない.その一つは言うまでもないが中枢結紮糸のすぐ末梢側にsuture-ligature(縫合結紮)を置くことで,私はこれに針付き2-0 braided silkを用いている.さらに,教科書には書かれていない方が多いが,末梢側にも予定切断線を中にして対称になるよう,1針suture-ligatureを置くようにしている.多少時間をとつてもこの処置は有用である.単結紮のみでは肺静脈が肺実質内ですぐ鈍角に分岐を示すため構造的にはずれ易い.もう一つの予防的考慮は,肺静脈の処理に困難が予測されたら,最初から心嚢を開いて心嚢内操作を考慮することである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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