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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 肺・縦隔手術

転移リンパ節により肺静脈の切離が極めて困難

著者: 長田博昭1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学第3外科

ページ範囲:P.850 - P.851

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 肺癌の手術であるから,根治性を満足しなければならず,転移リンパ節もこの際切除しなければならない.質問の場合は従つて答えは唯一つ,心嚢内での肺静脈処理に尽きる.肺静脈の心嚢貫通部より前方で横隔神経の後方をやや尾側で切開し頭側に切り進み,肺静脈を確認,指示を通じその周囲の硬さを点検する.肺癌症例では肺門病変により横隔神経が肺門側に巻き込まれるように引つ張られていることも多い.こんな時は同神経の前方で心嚢を切開しても良い.
 心嚢外には浸潤が著しくとも心嚢内肺静脈はintactなことが多い.しかし心嚢内で処理し得る肺静脈の長さや,心嚢内面の折り返しによる肺静脈の固定の程度はさまざまである.この固定は図のように4本の肺静脈と上下大静脈とを結ぶ靱帯様の折り返し構造によるもので,軽度の際は膜様であるが高度となると肺静脈の1/4周以上にも及ぶので,薄いものは直角鉗子等で穿破,厚いものは入念に展開する.それには折り返しの一方の面をメッツェンバウム剪刀等で静脈の走行に沿つて開き,直角鉗子,強轡ケリー,強彎ルメール鉗子等を少しずつ進めて向う側に出す.あとは結紮を2本suture-ligatureを1本置くこと,心嚢外処理と同様である.しかし肺静脈を長軸方向に展開しても長さが十分得られないこともあるし,特に質問のケースでは末梢側に余裕がないと想定される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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