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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 肺・縦隔手術

縦隔腫瘍が横隔神経を巻き込んでいる

著者: 長田博昭1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学第3外科

ページ範囲:P.858 - P.858

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 このような症例で同神経の温存を企てれば余程の例外を除いて腫瘍の一部を残さざるを得ないから,腫瘍の完全摘出のためには横隔神経の切断は不可避である,そこで横隔神経麻痺の術後への影響を考えて見よう.
 一般に縦隔腫瘍の患者では肺切除は必要ないか,または部分的切除程度で済むことが多い.それに胸壁合併切除を要することも稀である.また両側で横隔神経を巻き込む例もほとんどない.呼吸機能のほぼ正常なこういう患者に一側横隔膜神経永久麻痺が生じても,術後の呼吸状態が著しく損われることはほとんどない.特に成人や年長児では手術終了時のTidal volumeやpCO2も許容範囲であることが多く,気管チューブも抜去出来る例が多い.血液ガス所見から抜管が危ぶまれても1〜2日以内にほとんど抜管でき自然の呼吸のみで補助を要しなくなるのが普通である.もつとも「息苦しさ」を訴える患者は少なくない.特に体位によつてかなりの苦しさを訴える患者もあるが,これも数週間程度を経ると大きな問題ではなくなることが普通である.無気肺傾向はどうしても避けられないが一般に致命的なものではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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