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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 心臓手術

PDA切離の際,大動脈側あるいは肺動脈側のPotts鉗子がずれて出血した

著者: 新井達太1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学心臓外科

ページ範囲:P.861 - P.862

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 ずれたPotts鉗子の大動脈側にPotts鉗子をあわててかけると,大動脈壁を損傷してかえつて大出血を起こすことがある.PDAの上下の大動脈にテーピングをしてある時は前項で述べたように大動脈をテープ又は大動脈鉗子で遮断して,PDAの切断部に余裕を作つてからPotts鉗子をかけ直すとよい.最近のPotts鉗子は非常によく出来ていて,ずれることはまずないが,鉗子がガーゼや他の組織などをかんでいるとゆるくなることがある.Potts鉗子をはじめにかける時,ほかの異物やほかの組織などをかんでいないか十分に確かめねばならない.
 PP/PSが80%以上の肺高血圧で成人の肺動脈側の鉗子がずれると,鉗子をかけ直すのはなかなか難しい.まず,出血部を助手が指で押さえる.この操作中鉗子が外れてしまうこともある.肺動脈圧が80mmHgもあると母指と示指で押えて出血を止めているのはなかなか困難で,PDA切断端から示指を挿入して出血を少なくしたという話をきいたことがあるので,指を挿入してでも出血を少なくせねばならない.まず,開胸創を胸骨方向にのばす.次に心膜を開き,肺動脈を大動脈から剥離してテープを通す.太いネラトンにテープを通して肺動脈を遮断すると出血は少なくなる.ここで手早くPotts鉗子を肺動脈のPDA切断端にかける.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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