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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 心臓手術

上大静脈SVC,下大静脈IVCへのa)カニュレーション,b)テーピングの際,大静脈を損傷した

著者: 新井達太1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学心臓外科

ページ範囲:P.863 - P.864

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a)カニュレーションの時,大静脈の損傷をした経験はないが,医局員の前立ちをしているとSVCになかなかカニューレが入らないことがある.カニュレーションの方法は右心耳をサティンスキー鉗子ではさみ,切開を加え,肉柱が見える時はこれを切断する.心耳の切開創の回りに巾着縫合をかけ,切開創の両端をアリス鉗子で開くようにしてカニュレーションをするのはだれも同じである.SVCに入らない術者を見ていると,右房切開創にカニューレを入れたら真直SVCにカニューレを向けて一気に挿入しようとしている.そうするとSVCと右房接合部にカニューレがつかえる.そのため直接ねらわずカニューレをまず右房内に挿入し,左指でカニューレをSVCに誘導すると入り易い.IVCへは,IVCに近い右房にカニューレより一回り大きく円型の縫合をかけ,その中央を先刄のメスで切開し,指で出血をコントロールして,カニューレをIVCに向かつて入れる.IVC近くに切開創があるために,ここで,もたつく術者はない.
 b)テーピングの際,直角鉗子で大静脈を損傷した私自身の経験とほかの術者が損傷したのを何度か見たことがある.そこで損傷しないためにはまず用指剥離を行う.SVCの内背側は頭側が肺動脈,尾側に左心房がある.この間にある結合組織を肺動脈に沿つてSVCの外側に用指剥離すると指が通ることが多い.もし,通らなければ無理をせず,SVCの外側からも剥離する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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