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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 心臓手術

開心後,心室中隔欠損症VSDがなかなか見つからない

著者: 新井達太1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学心臓外科

ページ範囲:P.867 - P.867

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 VSDがKirklin分類のⅠ型(supracristal)と術前診断し,肺動脈切開で入つたがVSDが膜性部にあつた場合,またはこの反対に膜性部と診断し右房切開で入つたのにⅠ型であつた時にはVSDは見つけにくい.もし肺動脈切開で見つからなければ右房を切開して見つける.この反対もありうる.最近は超音波心エコー法,ドプラー法によりVSDの部位診断はかなり確実になつているので,術前に部位を十分確めてから,どこを切開してVSDに到達するかを決めるとよい.
 VSDが一つの時は上記の方法と左室造影で部位診断はつくが,複数欠損孔の時の診断がつきにくく,また術中2つ目の欠損孔が見つからぬ時がある.筆者の最近の経験であるが,左室造影で膜性部の短絡は明瞭であつたが,筋性部欠損によるjetか,右室肉柱間に造影剤が入つたのかが明確には決定できないまま手術に入つた.膜性部VSDをpatch閉鎖後,筋性VSDを確かめたが,見つからぬため,ASDを通してカニューレを左室に入れ,色素を左室内に注入した.色素がVSDを閉鎖したパッチの布目から流れ出したりしてはつきりしないため,左室を切開し左室側より筋性VSDを確かめたが,VSDはなかつた苦い経験がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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