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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 心臓手術

再手術例の胸骨正中切開の際,ストライカーにて心臓を損傷し出血した

著者: 新井達太1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学心臓外科

ページ範囲:P.868 - P.868

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 初回の手術から何年かたつて再手術をする時には心臓と心膜が癒着しており,さらに心膜と胸骨とが癒着していることがある.ストライカーにて初回手術の時と同様,一気に胸骨正中切開を行うと,心臓を損傷し血液が噴き出してくることがある.
 筆者の経験では右心房を損傷したが,多くの場合右心房を傷つけ易い.損傷してしまつたら,ガーゼを出血部にあて噴出するのを防ぎながら胸骨を完全に切開する.小児用の小さい開胸器で胸骨を少し開き,胸骨と心膜の癒着を用指剥離しながら,開胸器を少しずつ開いて行く.ガーゼで噴出を防いでいた部位を開胸器で2〜3cm開くと出血部位と大きさが分かつてくる.そうしたら心膜と一緒に心房の損傷部をU字縫合にて止血する.止血が出来たら心膜と右心室の癒着部を切開して心臓を露出する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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