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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 胸腹部重度外傷

術中,膵頭部損傷に遭遇した

著者: 葛西猛1 小林国男1

所属機関: 1帝京大学救命救急センター

ページ範囲:P.875 - P.876

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 術中主膵管損傷を見逃したり,術式選択を間違えたりした場合,本損傷例は殆んどが致命的となる.
 従つて,膵全体を露出し,用手的ないしは,術中膵管造影などにより膵損傷の程度を慎重に診断しなければならない.膵頭部損傷が疑われた場合は胃結腸間膜を結紮切離しbursa omentalisに入る.次に肝結腸靱帯を切離したのちに横行結腸の肝彎曲部を遊離し,横行結腸間膜を膵頭部前面より剥離する.膵頭部後面はKocker's maneuverにより腹部大動脈まで剥離する.以上の操作により膵頭部を露出し,視診および触診により膵頭部の損傷程度を慎重に調べる.被膜下血腫により膵実質が離断されているかどうか判然としない時は必ず血腫を除去してから精査しなければならない.これらの方法によつて主膵管損傷に疑いが持たれる時は,術中ERCP,総胆管に減圧の目的で挿入したT—チューブよりの造影(T—チューブ挿入部位より肝門部に近い総胆管およびファーター乳頭部を外から圧迫して造影すると膵管は写りやすい)によつて主膵管の損傷の有無を確認する.時には十二指腸切開下,sphincterotomyをおき膵管内にビニールチューブを挿入して造影することもあるが,この際は十二指腸縫合部の閉鎖不全をおこしやすいため注意が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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