icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 穿刺術

経皮経肝胆道ドレナージで,カテーテルから動脈性あるいは静脈性出血がある

著者: 青木克彦1 水野富一1

所属機関: 1聖路加国際病院放射線科

ページ範囲:P.897 - P.898

文献購入ページに移動
 近年高性能のリアルタイム超音波診断装置による穿刺術が普及するにつれ,胆管穿刺に伴う肝内血管の同時穿刺は著明に減少した1)
 <対策>肝内胆管は門脈と併行しているため門脈損傷が最も多い.肝内門脈圧はあまり高くないので,針やカテーテルの手元を閉鎖して凝固時間の5〜15分間待つて再開してみると止血されていることが多い.それでも出血をみる時は,造影剤注入にて透視下に門脈,肝静脈,肝動脈が造影されるか,血液や凝血が胆管内に流入しているかを観察する,門脈の次に多い損傷は肝静脈である(図1).針の切先を回転させるか,わずかに2〜3mm引き抜いて血液の流出が止るかをみる.さらに出血が続くときは,カテーテルの内腔や針を手元でロックしたり,Bone wax2)やゼルフォームで充填して24時間留置後再開してみる.造影の結果,損傷部位が太い動脈や門脈の時は,金属コイルやゼルフォームの栓塞術を行う.腫瘍や肝動脈本幹からの止血がどうしても困難な時はただちに,セルジンガー法による肝動脈と上腸間膜経由門脈撮影を行い,肝動脈栓塞術を行う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?