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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている 穿刺術

経皮腎瘻術でカテーテルが腎静脈に入つてしまつた

著者: 青木克彦1 水野富一1

所属機関: 1聖路加国際病院放射線科

ページ範囲:P.902 - P.903

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 腎動脈は静脈に比して細く,穿刺針やガイドワイヤーが入ることはほとんどない.一方腎静脈は太く壁も薄いため,針先が腎盂より内側や腹側に向つた時に刺入する危険がある.特に水腎症や腎盂炎が続くと腎壁が薄くなり,炎症によつて脆弱になつているので,先端の真直なガイドワイヤーを用いた場合などには腎盂内壁を貫き,腎静脈から下大静脈にガイドワイヤーが進むことがある.必ずJ形ガイドワイヤーを用いるべきである.静脈に損傷がおこると腎盂内に出血が起こり,腎盂尿管は凝血で満たされる.
 <対策>もし反対側にも水腎症があり,経皮腎瘻術の適用があるなら,反対側の経皮腎瘻術を注意深く行つて成功させる.出血の起こつた方の腎孟は静脈性出血のため,ある程度内圧が上ると止血し,凝血のあと融解が起こるので後日こちら側の経皮腎瘻術を行う.もし出血を起こした腎のみしか腎瘻術ができない時は,血液透析で逃げ時間を稼ぐ方法もあるが,超音波下に18G針あるいは細い針(22G)で腎孟に造影剤を注入し,透視下に慎重に腎孟に穿刺とカテーテル挿入を成功させる.dilatorを用いたのち,カテーテルは9〜12Fぐらいの太いものを入れる.血性尿が出てくるが,冷たい生食水で十分に洗浄を繰り返し,赤味が薄くなつたら造影剤を注入して,腎孟から静脈へ造影剤が移行しないかを透視下あるいはスポット撮影で確認する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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