icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻7号

1984年07月発行

特集 肝臓癌のTAE療法

TAE療法とその応用—私はこうしている

著者: 山崎晋1 長谷川博1 幕内雅敏1

所属機関: 1国立がんセンター病院外科

ページ範囲:P.955 - P.959

文献概要

はじめに
 TAEは元来切除不能肝癌に対する治療法として登場した.一方,いわゆる「切除可能な肝癌」では文句なしに,切除療法を適応することが良いとされていた.しかし肝癌の切除症例が次第に集積されてきて,切除後の予後が明らかになるにつれ切除療法の限界もだんだん明らかになつてきた.本邦の肝細胞癌(HCC)の大部分は硬変肝に発生するという事情が,HCCの治療を難しくしている一つの要因である.肝硬変合併HCCに対する肝切除は,HCCにたいしては勿論"治療"であるが,肝硬変に対しては間違いなく,"増悪因子であり,切除可能HCCに対して肝切除をすることは,「癌は治しても肝硬変を悪くする」こともあり,必ずしも延命効果につながらない1).したがつてHCC治療で一番大切なことは,HCCと肝硬変とに対して,いかにバランスのとれた治療を行うかということである.ここで抗腫瘍効果もかなりあり(化学療法より数段すぐれている),一方,肝毒性も肝切除にくらべて数段穏やかであるTAEが,HCCに対する治療法として,注目される所以であろう.
 さて我々は,肝切除に先立つてTAEを行うという試みを行つている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら