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文献概要
特集 外傷の総合画像診断と初療
腹部外傷
著者: 葛西猛1 小林国男1
所属機関: 1帝京大学救命救急センター
ページ範囲:P.1101 - P.1111
文献購入ページに移動はじめに
腹部外傷は,刺創,銃創などの鋭的外傷と交通事故,転落,殴打などに起因する鈍的外傷に大別される.診断の最も難しい鈍的腹部外傷では,一つのpositiveな所見で診断を下したり,開腹に踏みきることは,誤診あるいはnegative laparoto—myにつながる危険性がある.これらの事態を防止するためには,腹部理学的所見を中心に,許容範囲内で各種の映像診断法を応用する,いわゆる総合的診断法を行わなければならない.しかしながら,肝,脾,腎などの実質臓器損傷による大量出血例では,診断あるいは開腹のわずかな遅れが致死的となることがある.従つて,このような場合,質的診断(臓器診断)に固執する余り,開腹の機会を失い,患者を死に至らしめることは厳に慎まなければならない.
ここでは,腹部外傷の一般的診断法,腹部外傷を管腔臓器損傷と実質臓器損傷に分け,それぞれの画像診断,および腹部外傷の一般的治療の3点について述べる.
腹部外傷は,刺創,銃創などの鋭的外傷と交通事故,転落,殴打などに起因する鈍的外傷に大別される.診断の最も難しい鈍的腹部外傷では,一つのpositiveな所見で診断を下したり,開腹に踏みきることは,誤診あるいはnegative laparoto—myにつながる危険性がある.これらの事態を防止するためには,腹部理学的所見を中心に,許容範囲内で各種の映像診断法を応用する,いわゆる総合的診断法を行わなければならない.しかしながら,肝,脾,腎などの実質臓器損傷による大量出血例では,診断あるいは開腹のわずかな遅れが致死的となることがある.従つて,このような場合,質的診断(臓器診断)に固執する余り,開腹の機会を失い,患者を死に至らしめることは厳に慎まなければならない.
ここでは,腹部外傷の一般的診断法,腹部外傷を管腔臓器損傷と実質臓器損傷に分け,それぞれの画像診断,および腹部外傷の一般的治療の3点について述べる.
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