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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻8号

1984年08月発行

文献概要

文献抄録

免疫皮膚反応で熱傷の予後を予測できるか?

著者: 磯部陽1 石引久弥1

所属機関: 1慶応大学医学部外科

ページ範囲:P.1133 - P.1133

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 広範囲熱傷患者では免疫防御力の明らかな抑制が起こるが,この障害は熱傷創化膿,全身性感染症に対する生体反応をさまたげ,熱傷患者の感染症発生と死亡の大きな原因となつている.細胞性免疫能の尺度である遅延型皮膚反応の低下を指標として熱傷,外傷の予後の予測,栄養状態の判定が可能であるとする報告が多いが,Hoggersらは熱傷患者111例を対象としてこの点を検討した.
 症例を熱傷面積25%以上の広範囲熱傷群69例(第1群,平均年齢37歳)と熱傷面積25%未満の小範囲熱傷群(第2群,平均年齢53歳)の2群にわけた.全例に熱傷面積に応じた標準的蘇生療法,栄養補給を行い,破傷風予防及び72時間のPenicillin G投与を施行した.敗血症その他の感染症を認めた場合は抗生剤の非経口投与を加えた.皮膚反応にはmunpus抗原,Streptokinase-Stre—ptodornase,PPD,Candida,Trichophyton,Histoplas—minの6種のrecall antigenを用い,3種以上に反応(5mm以上の硬結)した場合を正常,1〜2種に反応した場合を相対的アネルギー,全く反応のみられない場合をアネルギーと判定した.この皮膚反応は3週間毎に行い,アネルギー症例には退院後も正常化するまで反覆検査した.生存可能率は簡易熱傷重症度判定指数に基づいて算出した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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