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臨床研究
甲状腺分化癌に対する両側頸部リンパ節郭清の適応
著者: 野口昌邦1 田中茂弘1 桐山正人1 藤井久丈1 秋山高儀1 滝川豊1 松葉明1 木下元1 宮崎逸夫1
所属機関: 1金沢大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1151 - P.1155
文献購入ページに移動現在,甲状腺分化癌に対する標準手術として,甲状腺亜全摘術と共にModified radical neck dissectionによる原発腫瘤側の(Ⅰ)〜(Ⅳ)と反対側の(Ⅲ)のリンパ節郭清術(R1)が行われており1),両側頸部リンパ節郭清術は術前あるいは術中に明らかな対側頸部リンパ節転移を認めるなど特殊な揚合にのみ行われている.しかし甲状腺リンパ管造影を行うと対側頸部リンパ節もしばしば造影されること2),また術中の視触診で転移の有無が判定し難い小さなリンパ節にもしばしば転移が存在する3)ことなどを考え合わせると,従来,対側頸部リンパ節転移が明らかでなく両側頸部リンパ節郭清術を行わなかつた症例にも,かなり対側頸部リンパ節転移が存在するのではないかと考えられる.
そこで,今回,私どもの教室で両側頸部リンパ節郭清術を行つた甲状腺分化癌49例を分析し,両側頸部リンパ節郭清術の適応条件について検討したので報告する.
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