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臨床報告
外傷性胸部大動脈瘤の1治験例
著者: 白川和豊1 臼井由行1 今吉英介1 清水康廣1 内田発三1 寺本滋1
所属機関: 1岡山大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1171 - P.1174
文献購入ページに移動鈍的外傷による胸部大動脈損傷は,近年の交通・労働災害の大型化にともない増加している.外傷により大動脈壁は種々の程度に損傷し,全層が一時に断裂した揚合には受傷直後に死亡すると考えられ,大多数の症例では30分以内に死亡するといわれる.これに対し,動脈壁の断裂が内・中膜にとどまり,外膜によつてその連続性が保たれているものでは直接死を免れ,亜急性型あるいは慢性型の経過をとる.Hebererら1)は,受傷後2ヵ月以上経過したものを慢性外傷性動脈瘤としているが,これらは全胸部外傷例の5%以下に過ぎないとしており,他家の報告を考え合わせると1〜2%が慢性の経過をとるものと考えられる2,3).
最近われわれは受傷後15年目に胸部異常陰影で発見された本症の1例を経験し,手術により治癒せしめ得たので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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