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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科4巻1号

1949年01月発行

雑誌目次

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大學の外科醫の責務

著者:

ページ範囲:P.1 - P.3

 今此の醫學部並に病院に大學外科醫協會(theSociety of University Surgeons)の諸君を迎える事は,私の最も光榮とするところである。諸君は我國外科學の不斷の進歩を最高水準に於て代表して居られる方々である。
 1906年に初めて使用された此等の建物は私が醫學を學んだ場所であり,私のクラスは此等當時の新講堂で4年の修學をした最初のクラスの一つであつたのである。此等の建物は主として,當時Moseley外科教授職にあつたJ. Collins Warrenと生理學教授Henry P. Bowditchとの監督の下に注意深く計畫されて出來たものである。土地は購入當時はPeter Bent Brigham病院と小兒病院(Children's Hospital)の敷地となる豫定であつた。私の卒業迄にPeter Bent Brigham病院が完成された。私は元來Johns Hopkins病院でHarvey Cushing教授のもとに卒業後の修業をしようと思つて居たが,私の上級醫學生時代に教授はボストンに轉任され,私が卒業した時には,この新病院で仕事を始められたので,Johns Hop—kins行きは止めにした。小兒病院は當時Hun-dugton通りにあったが,1914年學校の近くに建てられた。此の38年間は束の間に過ぎ去つたが,此の間に大變革が——特に外科醫の教育と訓練とに於て——起つた。私のクラスが卒業した1913年頃には,このグループの會員として資格ある外科醫を容れることの出來る病院はJohns Hopkins病院とPeter Bent Brighan病院の二つしかなかつたのである。

外科及び整形外科領域に於ける足の問題

著者: 名倉重雄

ページ範囲:P.4 - P.12

 外科及び整形外科の教科書には「足」に關する事項が記載されてゐる。
 その主なものを扁平足,内反足とし,ほかに尖足,踵足,凹足などを分類する書物もあり,扁平足(Pes planus),扁平外反足(Pes planovalgus),横扁平足(Pes transversoplanus),外反足(Pesvalgus),外反踵足(Pes calcaneovalgus),内反足(Pes varus),内反尖足(Pes equinovarus),内轉足(Pes adductus),踵足(Pes calcaneus),凹足(Pes excavatus),踵凹足(Pes calcaneo-excava—tus),尖足(Pes equinus)等に分類する成書もあり,其他の分類も行はれてゐる。

化學療法の比較竝に併用

著者: 島田信勝

ページ範囲:P.13 - P.20

 今日に於ける劃期的化學療法の研究進展が餘りにも急速且廣汎に亙つた爲か,實際の臨牀に際して或は經濟的見地より,又は作用の強化の點より何れの化學療法を選擇すべきか,或は如何なる併用療法を實施すべきかは必ずしも容易ではないと思う。特に今日の化學療法劑の大部分が一様に急性化膿性炎症に有效なるため,かゝる研究が吾々臨牀家にとつて極めて意義があり,今後大いに吟味されねばならない問題であろう。吾々は現在吾が國で一般に使用されている數種の藥物に就て本問題を檢討したので,2,3の文獻を引用して少しく論及してみたいと思う。

先天性股關節脱臼後療法初期に於ける體操と其效果

著者: 石原佑 ,   高木常光

ページ範囲:P.20 - P.24

緒言
 先天性股關節脱臼(以後先天股脱と呼稱する)の後療法に就てわ古來多くの詳細な記載がある。一方整形外科疾患中最も重要な對象であるばかりでなく,其患者數わ依然として多く且全國的であつて,整形外科專門家の手にのみ集中する事が困難な状況にある。此兩者の綜合わ勢い成書に準據した治療法と多少の經驗から來る千差萬別の治療法が現在行われて居るという結果が生じて居る状態である。其等の療法がはたして適切であるか否か些か疑問がある。
 而も今日尚整形外科専門家間に於ても,該疾患の發生論から治療に至る迄研究の餘地を多分に認め各々探究中の状態である。著者等も年來該疾患に對して再檢討の要を痛感しつつ各方面から考察を下して居るが,共保存的療法に就て次の二點に就き些か卑見を有し,此處に多數の症例から共爰當性を確信するに至つた。

膝關節メニスクス切除後の遠隔成績—メニスクスの再生に就いて

著者: 小林繁

ページ範囲:P.24 - P.25

 膝關節メニスクス(以下メと略す)損傷,メ性彈撥膝等に對する手術的療法は損傷メの部分的或は全剔出にして,1867Broolhurstの本手術を最初とし今やメ損傷,メ彈撥膝に對する唯一の療法となれり。然れ共メの部分的切除或は全剔出後,膝關節が如何なる状態を呈するや或はメの再生如何に關しては種々議論のある處にして,1927 Pfabは羊に就きメの再生あるを確證し,以來G. Lukjanovu. S. Pokronski(1929),A. Gibson(1931),H. Dieterich(1931),Leni(1934),盂(1934),King(1936)等の動物に就きての追試あり又臨牀的にはHenschen(1929),H. Friedrich(1930),W. Möller(1930),A. Gibson(1931),Stieb(1939)等のメ再生の報告あり。然れ共Katzensteinはメ剔出後9九ケ月にして何等メの再生を認められざりし例を報告せり。又一方メ剔出後に變形性關節病の出現も一應は考慮せらるべきなり。余はメ損傷並にメ性彈撥膝に依りメ全剔出術を施行全治せる患者に再度スギウロンに依る膝關節造影を行ひ以てメ全剔出後の膝關節の状態並にメの再生如何を觀察し得たるを以て此處に報告せんとす。

所謂骨端炎の小統計

著者: 池田龜夫

ページ範囲:P.26 - P.29

緒言
 醫人の知見の擴大と相俟つてレントゲン線の醫學的應用により,それ迄本態不明の各種局所性骨軟骨疾患が相次いで發見報告され,病理解剖學的にも探求された。1878年Madelung變形,1883年分裂膝蓋骨,1887年離斷性骨軟骨炎(König),1903年Osgood-Schlatter氏病,1907年所謂跟骨々端炎,1908年Köhler氏病,1909年Perthes氏病,1909年Thiemann氏病,1910年Kienböck氏病,1914年Freiberg-Köhler氏病,1921年少年期脊柱後彎(Scheuermann),1924年Calvé,扁平椎,1932年Dieterich氏病が相次いで報告せられた。此等以外に文獻上には上膊骨々頭,大腿骨頸部,仙腸關節,鎖骨の胸骨端,脊椎體,脾臼,種子骨等に於ける疾患,及び行軍病,足腫等の所謂Überlastungsdeformität等多數のものが報告されておる。此等一聯の疾患程,骨病理學の部門に於て莫大の努力が拂はれ多數の業績の存するもののないことはJoeckの言をかりるまでもない。而して更に進んで,未だ報告されてない局所に於ける類似疾患が發見され,報告される可能性は多分に想像出來る。然しながら此等疾患の成因に就いては,諸家により實に多種多様に唱へられ,從つてその名稱の如きも多數にして一定しない。斯の如き状態に於て,如何なる疾患を所謂骨端炎の範疇に屬せしむべきやに關しては種々異論のある所である。かゝるためか,此等一聯の疾患を一括して統計的に觀察した報告は私の寡聞なる少きやうである。私は多數諸家が恐らくこの範疇に入れるであらうと云ふ意味に於て,次の12疾患——Perthes氏病,Osgood-Schlatter氏病,Köhler氏病,Freiberg-Köhler氏病,所謂跟骨々端炎,Kienböck氏病,Calvé扁平椎,少年期脊柱後彎(Scheuemann),離斷性骨軟骨炎(König),關節鼠,分裂膝蓋骨,Madelung變形——を選び,此等に就き臨床的一般事項を觀察した。廣義に解釋して三角骨,外脛骨,Vesal骨,先天性股關節脱臼,纖維性骨炎,内反股,脊椎分離症,過勞變形,等を加へる人がおるも今回は此等を除外した。觀察症例は昭和4年より昭和22年迄に(昭和17年は戰災で日誌燒失のため除外)慶大整形外科を訪づれ,前述12疾患と診斷された196例であり,些か得る所あつたのでこゝに報告し諸賢の批判を仰ぐ次第である。

「臨牀外科」第3卷總目次

ページ範囲:P. - P.

臨牀外科第3卷索引(昭和23年)

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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