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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科4巻5号

1949年05月発行

雑誌目次

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Fundamental Questions in Intestinal Obstruction

著者:

ページ範囲:P.199 - P.202

 The study of intestinal obstruction lends itself to approach from various angles and. the one chosen for presentation here is a consideration of the five fundamental questionswhich must be answered by the clinician, confronted by a patient who may have intestinalobstruction. These questions are: (1) Is obstruction present? (2) Is large or smallbowel involved? (3) Is the obstruction partial or complete? (4) Is the obstructionacute or chronic? (5) Is strangulation present? The importance of arriving at the ans-wers to these questions is briefly pointed out in the following discussion which is based onactual cases from my own experience in this field.
 (1) Is Obstruction Present? The answer to this question is given by the plain roent-genograna, of the abdomen. In the adult visualization of any gas in the small bowel indi-cates obstruction and appreciable amounts of gas in the large bowel are pathological. ispiost important that the surgeon recognize anatomical locations from the appearance of dist2uded loops. In the high jejunum the shadow is wide and shows ninny cross striations located very close together. These striations are due to the plicae semilunares or mucosal folds which serve to increase mucosal surface area. Loops in the lower jejunum show cross striations at much greater intervals and there is a steady diminution in their frequency till the ileum is reached and here there are no cross striations, the shadow being tubular. Large bowel loops usually are easily recognized by their peripheral position and the in-complete cross markings caused. by the haustra which result from the pleating effect of the localized bands of longitudinal muscle fibers.

津田外科教室に於ける結腸癌42例の統計的觀察

著者: 津田誠次 ,   佐藤正三

ページ範囲:P.203 - P.207

1. 緒言
 私達は教室開講以來21年間に收療した結腸癌42例に就き,其の統計的觀室を試み併せて其の遠隔成績を述べてみよう。たゞ期間の永い割合に例數が少いのが遺憾であるが,吾等の過ぎ去つた足跡を顧みて,或いは期待に反して再發した患者を憐み,或は危みながらも決行した根治手術が奏効して,10數年もなお生命を永らえいる患者と幸福を分ち合う喜び等幾多の感概の中に,更にその本態の究明に眼を向けるのもあながち無駄ではなかろう。

肺結核症に對する一側肺全剔除術

著者: 卜部美代志 ,   林周一 ,   吉田則武

ページ範囲:P.209 - P.213

緒言
 空洞病巣を有する肺結核に對して今日虚脱療法が卓越した効果を擧げてはいるが,その虚脱療法を種々に組合せて加えてさえも如何しても處理出來ない空洞病巣がある。之等從來の虚脱療法を以てしては効果の期待し難い症例を直達療法殊に肺切除術の適應としてとり上げて治療することが試みられ,近來歐米に於てはかなり關心が高められて來たようである。日本に於て肺結核に對する肺葉切除術は大正13年關口教授による結節性結核に對する1例,昭和13年小澤教授の宿題報告中に結節性結核1例,肺上葉炎3例計4例に對する記述がある。其後約10年を經た昭和23年秋の第1囘胸部外科研究會に於ては河合,宮本,鈴木,慕内等の諸氏による報告があり,最近日本に於ても本治療法への機運が向いてきたことを示している。一側肺全剔除術は小澤教授によつて非結核性疾患である癌,肺壞疽,氣管枝擴張症等の4例に施行された報告があるが,肺結核に行つた報告はまだない。
 然し肺結核に對する肺切除術なるものが,はたして妥當な方法であるか,もしそうだとしても,その適應範圍等に就いては嚴正な批判檢討が加へられなければならぬと思う。從つて吾々が自驗例の遠隔成績から歸納した肺切除に關する正しい適應に就ての見解を述べ,それに從つて手術を行い得るためには尚一定の日時と少なからぬ努力とが必要なことになろう。

巨大なるS字状結腸眞性憩室に就て

著者: 西村正也 ,   速水泰三郞

ページ範囲:P.215 - P.217

 大腸の憩室は従來多くの報告があるが,その記載は詳細を欠き眞性憩室と思考されるものは誠に少いのであるが,我々は眞性と思われる巨大なるS字状結腸憩室の1例を經験したので茲に報告し,本疾患に就て概略を述べて見たいと思う。

小兒に見られた先天性腸管異常

著者: 芳野泰禮

ページ範囲:P.219 - P.222

 大正9年より昭和21年に亙る京大外科(第一及第二講座)入院患者についての調査に於て,口腔,肛門附近以外の部の先天性異常は極めて少數であつたが,十二指腸より下行結腸に至る迄の腸管の1部に先天性異常の認められた小兒が8名あつたので,それ等の症例を簡單に報告する。
 この8例を先天性異常の種類によつて分類すると. 次の樣になる。

腹腔内粘液腫の1例

著者: 上村良一 ,   間島永太郞

ページ範囲:P.223 - P.224

 腹腔内腫瘍の診斷は容易でなく,開腹時にも尚決定し難い場合も少くない。我々は腹部粘液腫の1例を經驗したので,其概略を報告し,腹部腫瘍診斷の參考の一端に供したい。尚この患者は原爆を受けている。
 症例 平澤某女 50歳。

メツケル氏憩室に原發せる肉腫により絞扼性イレウスを起した1例

著者: 竹內幹彥

ページ範囲:P.225 - P.227

 本症例は,手術後,種々手段を盡すも,腸管麻痺のため,3日ににして死亡,なお又,檢索も不充分にして,御報告しがたい點あるも,一面,稀有なる症例と信じ,茲に御報告する。
 症例: ○藤○け○ 68歳 家婦

Kummell氏法變法による直腸脱の治療

著者: 宮崎三郞

ページ範囲:P.229 - P.232

緒言
 1919年Kümmellは直腸脱に對し開腹して直腸上部を岬角の部分で後腹膜を通し背桂前縱靱帶に三針を以て固定する方法を發表したが,其後も余り廣く行われるにはいらない樣である。しかし本法の變法とも言うべき方法はDurmaskin,淸水等により行われて良成績を示して居る樣である。
 著者は臨時東京第一陸軍病院及國立東京第一病院に於て5〜30cmの直腸脱出を認める患者10例にKümmell氏法變法を行つたのでその所見の概要を報告する。

盲腸憩室炎の1例

著者: 柴田英生 ,   葦澤贇

ページ範囲:P.233 - P.237

I. 緒言
 大腸の憩室は1849年Cruveilhierによつて始めて記載され1898年Graserの詳細な報告が發表されて以來,多數の學者によつて報告されているが大腸左半殊にS字状部に多く,盲腸の孤立性の憩室に關すを報告は内外共に極めて少く,我々が文獻から集めえたところでは本邦に於ける報告例は僅かに15例に過ぎなかつた。我々は最近東大分院外科に於て虫垂炎性膿瘍の臨牀診斷の下に手術を行い盲腸憩室炎である事を知り廻盲部切除を行い治癒せしめ得た1例を經驗したので茲に報告する次第である。

急性穿孔性腹膜炎に續發せる破傷風例

著者: 城戶泰正 ,   桑原德次 ,   古川玉男

ページ範囲:P.239 - P.240

緒言
 破傷風は不潔なる創傷感染に依り,時に汚染せる外傷の後に發生せることは臨牀上既に明確に證明されているが,余等は感染徑路の甚だ不明確なる破傷風例を經驗し茲に之を報告せんとするものである。即ち急性虫垂炎性穿孔性腹膜炎の手術後13日目にして輕度の破傷風樣發作あり,漸次この發作は強烈となり,臨牀上明確に破傷風と診斷し得べき諸症状を具備し,茲に直ちに破傷風治療を開始し,全治し得た症例であるが,その發生機轉を考察するに患者は手術前外傷を受けたることなく,手術及び手術後の創傷虔置は型の如く絶對無菌的に施行せるに拘らず發生せるものにして,濳伏期間等の關係をも考慮し,恐らく腸管系内に存する破傷風菌が毒力發揮の機會に遭遇し,本病を惹起するに至りたるものと思考せられる。斯る感染例は新潟中田外科より1例報告せられている。

肝臟膿瘍の穿による腹膜炎の2例

著者: 川內拓郞 ,   平田禎助

ページ範囲:P.241 - P.243

 肝臟膿瘍は稀有なる疾患ではないが,膿が多量に貯溜するときは之を人工的に排除しなければ最も危險な合併症として隣接腔,又は臟器への穿孔を生ずることがある。而もその過半數は横隔膜を穿孔して肋膜腔に破れ膿胸を形成するか,又は氣管枝に穿孔する傾向があつて,腹腔内に自潰するものは稀である。
 最近肝臟膿瘍の腹腔内自潰により汎發性腹膜炎を惹起した2例を經驗したので,些か總括的觀察を試みた。

臨牀上稀有なる腸重積症に就て

著者: 白石淸秋

ページ範囲:P.245 - P.248

緒言
 腸重績は腸捻轉と共に絞扼性イレウスの定型的なるものにして,本邦に於ける頻度はイレウス總數の約20〜30%を報告せられたり。
 本症は主として小兒に多く發症し,其の發病經過急激にして而も重態に陥り易く,從つて早期に的確ななる診斷を下し合理的なる手術的對策を必要とする事は既に諸家の齊しく認むる所なり。

腺腫に原因せる空腸重積症の1例

著者: 篠原日出夫

ページ範囲:P.249 - P.250

緒言
 小腸殊に空腸のポリープは比較的稀とせられ,例えばStaemmlerに依れば剖儉例17000中消化管ポリープの存在は116例であり,且つその90%は大腸に生じ,小腸に見られたものは僅に10%である。又Bouvieによれば,消化管ポリープ44例中空腸にあつたものは1例に過ぎない。通常腸閉塞症,腸管重積症を惹起して初めて治療の對象となり,且つ手術によつてその存在が確認され,從つて報告例も重積症が圧倒的に多くなつている。
 私も1947年6月,その1例を經驗したので報告したい。

集會

ページ範囲:P.259 - P.259

 京都外科集談會4月例會 昭和24.4.28.
1. 嚢腫腎の1例           山   田
2. 鱒發剛兪膽管擴鼓酬1の1例    市   原

實際の外科知識

著者: 福田保 ,   岩藤良秋 ,   綾部正大 ,   河口忠雄 ,   中田瑞穗 ,   陣內傳之助 ,   岡田一郞 ,   濱口榮祐 ,   前田和三郞 ,   島田信勝 ,   齋藤眞 ,   津田誠次 ,   盛彌壽男 ,   幕內精一

ページ範囲:P.260 - P.261

質問
 1. どの樣な病氣にロボトミーをなさつておられます か。
 2. 喘息以外に,どの樣な病氣に頸動脈休手術をなさ いますか。

最近の米國外科

轉位脊椎椎間圓板の神經學的 整形外科學的及びレ線學的所見の相互關係に就て,他

著者: ,   ,   ,  

ページ範囲:P.251 - P.256

 グラント氏及び協同研究者は脊椎椎間圓板轉位の患者に對する手術の精確な適應,最も適當な術式,一次的或は二次的脊椎結合固定法の適用の可否には相當に意見の相違があると思つている。それで著者たちは脊椎椎間圓板の手術が施された95名の患者に就て研究した。その追求調査は整形外科及び腦神經外科の職員によつて,細心に身体檢査を行うことによつて爲された。更に腰椎及び骨盤の矢状及び前頭の2方向のレ線寫眞の撮影も施された。神經學的には知覺,運動及び反射の變化に就ての檢査,下肢の萎縮或は筋力の減退の症状,疼痛の存在,脚を伸展して舉げることの能不能等が檢査された。整杉外科的には脊椎の側彎,運動制限,脊椎に副つて存在する彎縮,又は骨盤傾斜が檢査された。又凡ての患者に手術後にも背腰痛或は坐骨神經痛が遺っているか否かを問診し,最後にこの轉位脊椎椎間圓板の手術に對する患者自身の意見を聴取している。
 以上の結果,患者の60%は治癒したものと見做され且つ背痛や坐骨神經痛を感ずることがなくて,日常普通の仕事に從事することが出來て居つた。又87%はこの手術の結果に全く満足して居つた。この種の外傷には患者の年齢や外傷及び職業の種類が特別に關係する樣ではなかつた。又手術の術式もその結果と深い關係がある樣には見えなかつた。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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