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血液凝固に關する研究と最近の動向
著者: 濱光治1 神前五郞1
所属機関: 1大阪大學醫學部第二外科教室
ページ範囲:P.263 - P.269
文献購入ページに移動 外科醫にとつて止血と云う問題は,尚解明すべき多くのものを殘している重要な課題である。止血機序には血液凝固速度以外に,血管收縮とか血栓形成(之に對しては血管内膜の性状,血流速度,血小板等が大きな役割を果している)なども重要な意義を持ているが,本稿に於ては主として血液凝固の面から止血と云う問題に觸れ,最近に於ける血液凝固に關する研究,及び吾々の得た新知見(之は第46囘(昭21年),47囘,48囘日本外科學會總會等に於て報告した)に就き述べる。
血液凝固機序に就て概觀するに,Alexander Schmidt(1872)以來多くの研究が發表せられ,Nolf(1913),Herzfeld u. Klinger(1915〜17),Hekma(1913〜29),Stuber(1922〜25)等の膠質化學説,酵素學説としてもBordet(1913),又Howell(1916)1)等の説,或は更にFalkenhausen(1929),Fuchs(1930)等の血清免疫學と關係づけた説もあるが,現在ではMorawitz(1903),Fuld(1903),Spiro(1904)等の論に依つてWöhlisch2)が述べた模型が一般に行われている。之によると,血漿中に存在する凝固要素はプロトロトンビン(以下「プト」と略稱),Ca,フィブリノゲンの3種であつて,之等が紅織或は血小板の破壞により生するトロンボキナーゼ(Morawitz)或はトロンボプラスチン(Howeli)の作用に依って,次の2段の楷梯に分けられる反應によりフィブリンとなるのである。
血液凝固機序に就て概觀するに,Alexander Schmidt(1872)以來多くの研究が發表せられ,Nolf(1913),Herzfeld u. Klinger(1915〜17),Hekma(1913〜29),Stuber(1922〜25)等の膠質化學説,酵素學説としてもBordet(1913),又Howell(1916)1)等の説,或は更にFalkenhausen(1929),Fuchs(1930)等の血清免疫學と關係づけた説もあるが,現在ではMorawitz(1903),Fuld(1903),Spiro(1904)等の論に依つてWöhlisch2)が述べた模型が一般に行われている。之によると,血漿中に存在する凝固要素はプロトロトンビン(以下「プト」と略稱),Ca,フィブリノゲンの3種であつて,之等が紅織或は血小板の破壞により生するトロンボキナーゼ(Morawitz)或はトロンボプラスチン(Howeli)の作用に依って,次の2段の楷梯に分けられる反應によりフィブリンとなるのである。
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