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動脈注射に依る各種藥劑の關節腔内移行に就て
著者: 久保田亨一1 赤羽毅1
所属機関: 1千葉醫科大學中山外科教室
ページ範囲:P.283 - P.289
文献購入ページに移動第1章 緒言
スルフォンアミド劑及びペニシリン等の藥劑を關節腔内に直接注入する以外に如何なる使用法に依るも其等薬劑の有効量を長時保接する事の困難なる事は諸氏に依り報告せられている所である。余等は葡萄糖液の各種使用法による關節腔内移行を檢すると同時にスルフォンアミド劑及びペニシリンの各種使用法時に於ける其等藥劑の關節腔内への移行状態を見更に其等藥劑を高稠葡萄糖液を溶媒として動脈注射した場合の移行と比較研究してスルフォンアミド劑及びペニシリンが關節腔内に直接注入する以外に如何なる使用によるもその有効量を長時保持せしめる事の困難なる事を知つた。然るに之を動脈内に衝撃的に然も高稠葡萄糖液を溶媒として注入する事によつて容易に有効量以上の高濃度を移行せしめ得る事を實證し第46囘外科學會總會席上に於て動脈注射の主作用機轉の1として中山教授竝に鈴木助教授に依り發表せられた所である。更に此の實驗を諸種關節疾患に施行して葡萄糖の關節腔内移行量が注入葡萄糖液の濃度の大なるに從い著明に増加する事を明かにし得たと同時にペニシリン及びスルフォンアミド劑等の關節腔内移行が溶媒としての葡萄糖液の濃度の大なるに從い著明に増加する事實を亦鮮明にし得た。以上の事實は他注射法に於ては見られない動脈注射の特殊的作用であると信ずる次第である。此所にその實檢成績を御報告し諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
スルフォンアミド劑及びペニシリン等の藥劑を關節腔内に直接注入する以外に如何なる使用法に依るも其等薬劑の有効量を長時保接する事の困難なる事は諸氏に依り報告せられている所である。余等は葡萄糖液の各種使用法による關節腔内移行を檢すると同時にスルフォンアミド劑及びペニシリンの各種使用法時に於ける其等藥劑の關節腔内への移行状態を見更に其等藥劑を高稠葡萄糖液を溶媒として動脈注射した場合の移行と比較研究してスルフォンアミド劑及びペニシリンが關節腔内に直接注入する以外に如何なる使用によるもその有効量を長時保持せしめる事の困難なる事を知つた。然るに之を動脈内に衝撃的に然も高稠葡萄糖液を溶媒として注入する事によつて容易に有効量以上の高濃度を移行せしめ得る事を實證し第46囘外科學會總會席上に於て動脈注射の主作用機轉の1として中山教授竝に鈴木助教授に依り發表せられた所である。更に此の實驗を諸種關節疾患に施行して葡萄糖の關節腔内移行量が注入葡萄糖液の濃度の大なるに從い著明に増加する事を明かにし得たと同時にペニシリン及びスルフォンアミド劑等の關節腔内移行が溶媒としての葡萄糖液の濃度の大なるに從い著明に増加する事實を亦鮮明にし得た。以上の事實は他注射法に於ては見られない動脈注射の特殊的作用であると信ずる次第である。此所にその實檢成績を御報告し諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
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