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シリーズ・がん集学的治療—いま,放射線療法は・2
食道癌手術の術前・術後の放射線療法
著者: 石川達雄1 恒元博1 小野田昌一2 磯野可一2 佐藤博2
所属機関: 1放射線医学総合研究所 2千葉大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1289 - P.1293
文献購入ページに移動食道癌の治療成績は近年徐々に改善されつつあるが未だに満足される値ではなく,外科治療の5年生存率は20%前後となつている.
この主な理由は今日の診断技術の進歩にも拘わらず食道癌においては受診時すでに進行癌である症例が多いことによるものであり,このために食道癌の治療には種々の合併療法が試みられてきた.この代表的な治療法が中山による術前照射である.今日,この術前照射法は改良,発展がなされ制癌剤および免疫療法を併用した術前三者併用療法として多くの施設で用いられているが,更に放射線治療は術後照射としても積極的に用いられるようになつている.食道癌は一部の症例を除いて大部分の症例が扁平上皮癌でありその放射線感受性は比較的高いことから食道癌の治療には放射線治療は不可欠な治療法と言えるが,更にこの治療法を適応に準じて用いかつ放射線治療効果を増強せしめることにより,放射線治療は食道癌の治療成績向上に寄与することが期待される.
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