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文献詳細

雑誌文献

臨床外科40巻3号

1985年03月発行

文献概要

文献抄録

早期乳癌の治療,予後における胸筋間(ロッター)リンパ節転移の意義

著者: 池田正1

所属機関: 1慶応大学医学部外科

ページ範囲:P.390 - P.390

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 非定型的乳房切断術(MRM)はここ20年来増え続け,今や多くの外科医が原発性乳癌に対する標準術式として施行するようになつてきた.しかし,MRMでは胸筋間(ロッター)リンパ節を郭清しきれないという隠れた欠点がある.そこで,早期乳癌における胸筋間リンパ節(IPN)転移の意義につき考察した.
 対象は,1975年より1982年の間にMemorial Sloan Kettering Cancer CenterおよびSt Luke's Roosevelt Hospital CenterでMRMを施行した500例の早期乳癌(T1N0)患者である.MRMは,浸澗癌に対しては大胸筋保存術式を,大部分の非浸潤癌に対しては大小両胸筋保存術式を行い,手術の最後にIPNのサンプリングを施行した.1975年から1978年の間は,IPN biopsyを選択的に行つたため,その施行頻度は38%であつた.1979年から1982年は全例施行を原則としたが,実際に対象となる胸筋間組織が存したものは80%にすぎず,しかもそのうちリンパ節を認めたものは73%であつた.IPN転移は,サンプリングした症例の4%に認めたが,これは全症例の2.6%,浸潤癌の3%に相当する.また,この数字は,腋窩リンパ節転移陽性例の8.2%,陰性例の0.5%に相当する.IPN転移陽性の13例は,他の症例に比し,腫瘍径,占拠部位に差を認めなかつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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