文献詳細
臨床報告
閉塞性大腸炎の1例
著者: 田中忠良1 森重一郎1 大西博三2 松井規親3
所属機関: 1愛媛労災病院外科 2愛媛労災病院病理 3山口大学医学部第1外科
ページ範囲:P.551 - P.554
文献概要
大腸の閉塞ないし狭窄とくに癌腫による閉塞によつて,その口側腸管に発生する潰瘍性病変の報告は1950年頃より散見されるが,その名称もまちまちでそれ程注目されていなかつた.1966年,Glotzerら1)は実験的に類似の病変の作成に成功して,obstructive colitisと命名したが,本邦でもこれにならつて閉塞性大腸炎と呼称されている.
本症の肉眼的所見の特徴は,結腸紐にほぼ一致する縦走潰瘍であるといわれているが2,3),われわれは直腸癌とS状結腸癌の同時性重複癌に合併し,全周性潰瘍形成の見られたきわめて稀な症例を経験したので報告する.
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