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文献詳細

雑誌文献

臨床外科40巻5号

1985年05月発行

原典を繙く・6

Dieulafoy潰瘍(その6)—Exulceratio simplex L'intervention chirurgicale dans les hématémèses foudroyantes consécutives à l'exulcération simple de l'estomac.

著者: 島津久明1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.649 - P.651

文献概要

 それでは,そろそろ治療と外科手術の問題に移りたいと思います。
 ある患者が胃の潰瘍性病変,つまり単純性潰瘍(ulcus simplex)か,あるいは単純表在性潰瘍(exulceratio simplex)から反復して吐血を起こしますとき,どの時点まで内科的治療で頑張つていてよいものでしようか?どこで外科手術を行うことに踏みきるべきでしようか?手術を適切な時機に行うには,どのような徴候や症状に基づいて判断すればよいのでしようか?単純性潰瘍からの吐血が内科的治療で完全に治癒したということは,もちろんない訳ではありません.つまり単純性潰瘍の経過中に大量の吐血を反復して起こす患者は我々の誰もがみておりますが,これらの患者は主として内科的治療の恩恵をうけているのであります.私自身のことを申しますと,私は外科手術を行うことなしに吐血が停止し,潰瘍病変も治癒した定型的な胃潰瘍症例を6例経験しております.これらのうち最後の1例は,私どもの同僚Ferrand博士と一緒にみました男性の症例であります.したがいまして私は,胃潰瘍の経過中に吐下血を起こしたすべての患者を外科手術に委ねるという考えはもつておりません.しかしながら,単純性潰瘍あるいは単純表在性潰瘍のいずれにおきましても,問題は私たちの内科的処置が不十分な場合であることは明らかでありまして,この場合には,私たち内科医がたとえ何をしようとも,患者は出血のために死亡することになります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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