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文献詳細

雑誌文献

臨床外科41巻1号

1986年01月発行

画像診断 What sign?・34

ダグラス窩病変

著者: 佐藤豊1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学放射線科

ページ範囲:P.69 - P.69

文献概要

 臨床症状あるいは腹部単純像にて前出(40:13,1687)のダグラス窩病変が疑われた場合,まずはじめに試みられるべき画像診断法は超音波検査である.ダグラス窩は充満した膀胱をエコーウィンドウとすることにより腸管の介在を避けることができることから,超音波検査が有効に利用される領域である.急性腹部症状を伴つて発症するダグラス窩病変としては卵巣嚢腫内出血,骨盤腹膜炎,子宮内膜症,子宮外妊娠などが挙げられる.卵巣嚢腫内出血はその時期により早期には嚢胞内に強い内部エコーが多くみられるが(図1),時間の経過とともに内部エコーが減少する.軸捻転の有無は超音波像の上では診断困難である.骨盤腹膜炎はダグラス窩,特に子宮後方のcul-de-sacの液体貯留としてみられるが,組織片,膿汁などが液層を形成する場合もある(図2矢印).子宮内膜症の超音波像は多彩であり,嚢胞成分と実質成分とを併せ持つ腫瘤としてみられることが多く,子宮壁内に嚢胞(adenomyosis)を形成する場合もある.子宮外妊娠では腹腔内出血によるcul-de-sacの液体貯留と子宮の内膜肥厚を伴う増大がみられ,時に子宮腔内の血液貯留により胎嚢類似の構造(pseudosac)がみられることもあるので注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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