文献詳細
臨床研究
腹部大動脈・腸骨動脈閉塞症に対するAorto-femoral bypass 22例の経験
著者: 阪上賢一1 上田興太郎1 太田保1 近藤秀則1 田中信一郎1 宮崎雅史1 難波晃1 渕本定儀1 折田薫三1
所属機関: 1岡山大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1427 - P.1431
文献概要
近年,わが国においても生活様式の変化に伴つて四肢の動脈硬化性慢性閉塞症が増加する傾向にある.この閉塞性動脈硬化症ではBuerges病と異なり比較的中枢側の大中動脈に病変が存在するため,血行再建術の良い適応となる.しかし,高齢者が対象となることが多く,しかも他臓器の動脈硬化性病変の合併などを考慮すると血行再建術式の選択には慎重な配慮を要する.
私どもは,過去15年間に腹部大動脈,腸骨動脈の硬化性閉塞症(aortoiliac occlusion)に対して種々な人工血管を用いた大動脈・大腿動脈バイパス術(aortofemo—ral bypass,A-F bypass)22例を経験した.早期閉塞を1例にみたが手術死亡はなく,3年累積開存率95.5%と良好な成績を挙げることが出来たのでその概略を述べるとともに,血液透析患者にみられた著明な石灰沈着を示すaortoiliac occlusionに対するA-F bypassの1例を呈示する.
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