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心肝同時移植の第1例
著者: 杉岡篤1
所属機関: 1慶応大学医学部外科
ページ範囲:P.1816 - P.1816
文献購入ページに移動 近年欧米では心臓移植と肝移植はいずれも治療手技として確立されているが,今回著者らはこの2つの手技を同時に1人の患者に実施し良好な結果を得た.本論文はその詳細を報告したものである.
症例は6歳9カ月の女児で,家族性高コレステロール血症のため他院で治療を受けていた,5歳頃より急速に動脈硬化が進行し,心筋梗塞を起こしたためAC bypassが2度施行された.しかしそのつど狭心症が再発し,僧帽弁閉鎖不全症を併発した.この時点で本例は心肝同時移植の適応とされた.本例の高コレステロール血症は肝臓のlow density lipoproteinのreceptorの減少が原因で,正常肝になれば改善すると予測されたからである.患者はPittsburghへ送られ,1984年の2刀13日から14日にかけて手術が行われた.Donorは4歳6カ月で血液型はO型である.Recipientの血液型はA型でHLAのtypeA,B,D2も一致していなかった.Donorより心臓,肝臓および腎臓が摘出され,Pittsburghへ運ばれた.肝臓は4℃のEuro Collins液の灌流を受けた後,冷却したRinger液中に保存された.
症例は6歳9カ月の女児で,家族性高コレステロール血症のため他院で治療を受けていた,5歳頃より急速に動脈硬化が進行し,心筋梗塞を起こしたためAC bypassが2度施行された.しかしそのつど狭心症が再発し,僧帽弁閉鎖不全症を併発した.この時点で本例は心肝同時移植の適応とされた.本例の高コレステロール血症は肝臓のlow density lipoproteinのreceptorの減少が原因で,正常肝になれば改善すると予測されたからである.患者はPittsburghへ送られ,1984年の2刀13日から14日にかけて手術が行われた.Donorは4歳6カ月で血液型はO型である.Recipientの血液型はA型でHLAのtypeA,B,D2も一致していなかった.Donorより心臓,肝臓および腎臓が摘出され,Pittsburghへ運ばれた.肝臓は4℃のEuro Collins液の灌流を受けた後,冷却したRinger液中に保存された.
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