文献詳細
臨床報告
突然の呼吸困難で発症した幼児Bochdalek孔ヘルニアの1例
著者: 藤井一郎1 北村元男1 広瀬周平1 高橋健治1 間野清志1 寺崎智行2
所属機関: 1岡山済生会総合病院外科 2岡山済生会総合病院小児科
ページ範囲:P.369 - P.372
文献概要
新生児早期より発生する先天性後外側横隔膜ヘルニア(Bochdalek孔ヘルニア)は,小児外科において最も緊急度の高い疾患のひとつである.特に生後24時間以内に発症した患児では予後不良である.一方,この時期を無症状に経過し,乳・幼児期,学童期になつて発症する場合もまれながらある.これは"Acquired"congenital diaphragmatic herniaとも表現されるが,新生児発症の場合に比べて発症メカニズム・症状・予後などにいくつかの特異な点を有している.
今回われわれは,4歳6ヵ月までまつたく無症状のまま順調に発育した女児が,突然の呼吸困難で発症し,X線検査で診断,手術にて全治せしめた1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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