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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科41巻5号

1986年05月発行

雑誌目次

特集 甲状腺癌の診断と治療

この診断法でどこまでわかるか—RI

著者: 伊津野格 ,   牧内正夫 ,   今井迅 ,   守屋久見子 ,   高木政美 ,   岩浅武彦 ,   久米田茂喜

ページ範囲:P.539 - P.544

 甲状腺の画像診断の一つであるシンチグラフィーは,複数の核種を用い,それぞれの核種の特徴を生かして診断の精度を上げるといつた工夫がなされている.特に癌診断においては,131Iまたは99mTcと201Tlの組合せに,さらに67Gaを加えるといつたことが行われるようになつた.まず131Iまたは99mTcが結節病変をシンチグラム上の欠損としてとらえ,そこに201Tlが集積するか否かで悪性・良性の判断をすることを基本とするが,それについては若干の注釈が必要である.
 最近,131Iにかわり99mTcが多く用いられるようになつてきたが,前者は遠隔転移巣の検索とRI大量投与療法の適応の決定にいまなお欠かせないものである.

この診断法でどこまでわかるか—超音波検査

著者: 横沢保

ページ範囲:P.545 - P.551

 近年の超音波機種の進歩は著しく,甲状腺の微細構造の観察が可能となつた.超音波法が触診を含めた他検査に比較して優れていると思われる点は,微小・複数病変の検出,および腫瘍の辺縁・内部構造の描出能力にある.1983年より筆者らは甲状腺癌の症例にリァルタイム法を用いた超音波検査を行つてきたが,この方法が,特に微小癌(≧10mm),微小腺内転移巣検出,嚢胞変性癌の診断に優れていたので報告する.

この診断法でどこまでわかるか—頸部単純X線検査とCT検査

著者: 小原孝男 ,   金地嘉春 ,   鈴木恵子

ページ範囲:P.553 - P.558

 頸部側方軟線撮影の目的は,主に甲状腺腫瘤内の石灰沈着の有無を知ることである.これは腫瘤の手術適応の決定から質的診断に至るまで非常に役立つ.石灰沈着陰影のうち,とくに砂粒小体陰影に臨床的意義があり,甲状腺癌患者の約22%に検出される.これが認められれば乳頭癌の診断はほぼ確定的である.
 CT検査は,甲状腺進行癌の隣接臓器への浸潤状況を知るに有用である.気管への浸潤は,内腔にまで突出した症例では一見して確認できる,気管の不整な変形,あるいは平滑な圧排性変形でも矢状方向3cm以上に及ぶ場合には浸潤が疑われる.食道浸潤は,食道と癌とが直接に接し,その間の脂肪層が3cm以上にわたつて見えない時には疑わしい.総頸動脈が変形して造影される時には浸潤を考える必要がある.

この診断法でどこまでわかるか—穿刺細胞診

著者: 鳥屋城男

ページ範囲:P.559 - P.563

 穿刺吸引細胞診は外来で簡単に繰り返しでき,かつ安全な検査法である.しかしながら,穿刺,標本作製,読みの段階のいずれかにおいてミスがあれば誤診につながる.
 採取される材料は組織に近いので癌の組織型の判定までできるのが穿刺吸引細胞診の優れた点である.組織型により診断率に差があり,乳頭癌は嚢胞性変性を起こしたものを除けばほぼ診断できる.濾胞癌は60.3%の正診率であり,疑いを含めると80%弱の診断率であつたが,最も細胞診断のむずかしいタイプである.未分化癌は素早く診断できるので有用性が高い.悪性リンパ腫はmixed typeをのぞけばほぼ診断できる.髄様癌は特徴ある細胞像を呈するので診断は可能である.

術式,治療法をどうするか—私はこうしている—高分化癌

著者: 尾崎修武

ページ範囲:P.565 - P.569

 甲状腺分化癌のなかでも,乳頭癌の大多数は増殖が緩徐であり,転移も患側の所属リンパ節群に限局していて,治癒切除が可能である.実際にこのような症例は分化癌の約70%を占める.従つてこれらの症例では,手術方法が治癒の可能性の最も大きな要因となる.
 手術は甲状腺切除術と頸部郭清術よりなる.甲状腺の切除範囲は峡部を含めた片葉切除あるいは亜全摘となる.所見に応じて切除範囲を決定するが,方針としては前者が多い.頸部郭清は,リンパ節転移が甲状腺近傍とそれより隔れた領域とで頻度がほぼ同じこと,およびリンパ節再発が内深頸領域に最も多いことなどから,外深頸領域まで系統的に郭清するR1郭清を行つている.

術式,治療法をどうするか—私はこうしている—甲状腺分化癌;術後長期観察成績と低分化癌の治療について

著者: 小池明彦 ,   成瀬隆吉 ,   金光泰石

ページ範囲:P.571 - P.574

 甲状腺分化癌の手術後長期観察してみると,一部には悪性の態度を示す症例がある.術後12〜20年間follow-upし得た乳頭癌について治療成績を検討した,その結果39歳以下では再発率死亡率が極めて低率であるが,40歳以上では若年者群と同様な手術規準で治療したにもかかわらず著しく高率であることが明らかになつた.high risk factorとしては年齢(男女ともに40歳以上),男,局所浸潤傾向,多数の頸部リンパ節転移が上げられる.低分化癌症例では再発時に根治的再手術が可能なことは少ないので,high risk caseと判断されたときには,初回に拡大した手術を行う必要があることを強調し,その手術術式について述べた.

術式,治療法をどうするか—私はこうしている—低分化癌

著者: 河西信勝

ページ範囲:P.575 - P.578

 甲状腺低分化癌は,現在,独立した病理学的概念としてとらえられており,分化癌の中でも高分化癌に比較して予後の悪い甲状腺癌とされている.本論文では低分化癌の臨床病理学的特徴を示すとともに,臨床的にどのようにして低分化癌を把握するかを述べ,低分化癌に対する手術,治療法の選択を報告した.

術式,治療法をどうするか—私はこうしている—未分化癌の病理・疫学・診断

著者: 伊藤國彦

ページ範囲:P.579 - P.586

 甲状腺未分化癌は病理学的に紡錘形細胞癌,巨細胞癌,小細胞癌の3種類に分類されている.小細胞癌は悪性リンパ腫との組織学的鑑別が困難なので,この両者を一括して小細胞腫瘍としている者もある.また紡錘形細胞癌と巨細胞癌は分化癌より転化したものが多い.著者の病院で1969年から1984年までの16年間に経験した未分化癌症例は77例で,紡錘形細胞癌4例,巨細胞癌64例,小細胞癌9例であつた.これはこの間の全甲状腺癌の3%に当る.未分化癌は低ヨード食地帯に高頻度に認められるといわれているが,諸外国に比して日本ではとくに少ない.しかしアメリカでは甲状腺未分化癌の頻度が逐年的に低下しているとする報告がある.未分化癌患者のほとんどは高齢層であり,60歳以上の症例が67.5%を占めている.一般に高齢化の傾向が進んでいるが,とくに未分化癌が増加しているという現象は認められない.男女比は1:2.9人となり,分化癌に比べると男性にも少なくない.未分化癌の甲状腺腫は悪性所見が著しい,また短期間のうちに増大する.また肺転移の頻度も高い.分化癌と異なり,局所の圧迫症状や全身に及ぼす影響もきわめて強い.高齢者の甲状腺腫瘍の中には未分化癌があることを念頭におけば,診断はそれほど困難ではない.確実な診断法は穿刺吸引細胞診である.さらに67Gaシンチグラムが参考になる,予後のきわめて悪い甲状腺未分化癌を救命し得るとしたら,迅速な診断と即刻治療を開始する以外に方策はないであろう.

術式,治療法をどうするか—私はこうしている—未分化癌の治療

著者: 的場直矢 ,   高屋潔 ,   谷村清明

ページ範囲:P.587 - P.591

 過去12年間に10例の甲状腺宋分化癌を経験した.いずれも巨細胞(大細胞)癌に属し,男女比1:1.5,平均年齢67.3歳であつた.来院までの期間は1週間から5カ月に及ぶが,いずれも急速な増大がみられた。8例に切除を行い,主としてADMを中心とする化学療法,5例に放射線治療を併用しているが,最近の1例を除き,すべて最長11カ月(平均5.5カ月)で死亡している.死因は局所再発によるものが多かつた.最近の治療法として,アンギオテンシンⅡによる昇圧化学療法,CDDP治療などを行つたが,いずれも効果を明らかにすることは出来なかつた.今後の方針としては,穿刺吸引細胞診で診断後緊急的に化学療法を行い,出来れば手術し,術後の放射線,化学療法の併用を行いたい.

術式,治療法をどうするか—私はこうしている—髄様癌

著者: 宮内昭 ,   高井新一郎 ,   隈寛二

ページ範囲:P.593 - P.598

 自験甲状腺髄様癌の術前診断率は遺伝性群では1975年以前33%,1976〜1980年86%,1981年以降100%であり,診断がより困難な散発性群ではそれぞれ13%,30%,83%といずれの群でも年代毎に術前診断率は向上している.とくに穿刺吸引細胞診による向上が著しい.術前診断された初回手術例の遺伝性群17例,散発性群17例に施行した術式(甲状腺切除範囲と郭清範囲)を示し,術後の血中カルシトニン値から手術の根治性を検討した.リンパ節転移が4個以上の症例では術後のカルシトニン値が正常化する率は13%と低い.遺伝性群では甲状腺は必ず全摘する.散発性群の甲状腺切除範囲については色々の意見がある.縦隔郭清の意義,放射線療法,制癌剤療法についても述べた.

術式,治療法をどうするか—私はこうしている—悪性リンパ腫

著者: 佐々木純 ,   多田隆士 ,   西成忍 ,   森昌造

ページ範囲:P.599 - P.606

 甲状腺悪性リンパ腫の治療法は未だ確立されていない.自験例3例を挙げ,甲状腺悪性リンパ腫は手術すべきか,あるいは放射線照射の方が良いか,化学療法はいかなる場合に用いるべきか,迷うことが多いことを示した.
 そこで文献的に,これまで本邦で報告で報告された本症症例中,治療後2年以上経過を追跡し得た92例を,手術,放射線照射,化学療法などの各治療群に分類し,各群の生存期間を比較してみた.その結果,手術したのち放射線照射を加えた群が最も良い成績を示し,手術せず放射線照射や化学療法のみにたよつた群は成績が悪いことがわかつた.

カラーグラフ 胆道疾患の外科病理・10

早期胆嚢癌

著者: 吉田奎介 ,   白井良夫 ,   川口英弘 ,   大村康夫 ,   武藤輝一 ,   内田克之 ,   鬼島宏 ,   渡辺英伸

ページ範囲:P.535 - P.537

はじめに
 早期の胆嚢癌の診断能向上にはその肉眼形態の特徴を明らかにすることが前提である.現在まで臨床側からの早期胆嚢癌報告例はポリープ様隆起性病変を示すものが多い1)のに対し,病理側の検討では早期胃癌の分類でいう表面型を呈するものが大多数を占め2,3),大きな食い違いがみられる.これは画像診断法の病変検出能が表面型には及ばないことを反映するものと思われる.今後表面型をどう診断していくか,またその進行癌への進展過程を明らかにしていくことは緊急の検討課題である.当面,画像診断で術前に確診することの困難な病変が多いことから,胆嚢摘出時水際で見落しの防止に努めなければならない.すなわち,胆嚢摘出術を行う外科医にとつて早期の胆?癌の肉眼形態の理解は極めて重要である.以下に典型的な所見を示す代表例を呈示する.

座談会

甲状腺癌の診断・治療をめぐる諸問題

著者: 柵瀬信太郎 ,   野口志郎 ,   河西信勝 ,   松浦秀博 ,   中尾量保

ページ範囲:P.607 - P.618

 まず,頻度の高い乳頭癌からはじまり,そこで全摘・亜全摘をどう使いわけるか,その決め方等をお話しいただいた.また頸部郭清においてのリンパ腺転移と予後の関係,さらに濾胞癌との関連で高分化型・低分化型というとらえ方の有用性等についてもつつこんだ検討がなされた.

原典を繙く・14

「Mirizzi症候群」原著の翻訳を終えて

著者: 石川功

ページ範囲:P.619 - P.622

はじめに
 Mirizzi症候群については,近年の胆道系画像診断学の長足の進歩とともに報告例が増加するにつれ,その定義の解釈や臨床的意義に関してさまざまな混乱が生まれ,新たな議論の的となつている.
 1982年に東京で開かれた第18回胆道疾患研究会においても,Mirizzi症候群が主題の1つとしてとり上げられ,(1)定義,(2)鑑別診断,(3)治療法などにつき活発な討論が行われたが,とくに定義に関しての混乱が目立つた1)

画像診断 What sign?・36

Collarbutton Ulcer

著者: 佐藤豊

ページ範囲:P.623 - P.623

 急性期の潰瘍性大腸炎の際にみられる所見であるが,本症に特異的なものでなく,大腸クローン病,虚血性腸炎,アメーバ赤痢などでもみられる.初期の潰瘍性大腸炎ではLieberkuhn氏窩のcrypt abscessが注腸像で結腸辺縁のserrationあるいはspiculationとしてみられるが,粘膜の脱落と粘膜下への進展により潰瘍底がフラスコ状に広がったcollarbutton ulcerが生ずる(図1).さらに潰瘍面が広範囲になると,潰瘍と潰瘍の間の浮腫をおこした粘膜が,注腸像で陰影欠損として描出され,pseudopolypの像を呈する(図2),また図2に示されるごとく,個々のcrypt abscessが粘膜下疎性結合織の中を結腸長軸方向に連続することにより粘膜が一部遊離して,結腸辺縁が二重に観察されることがあり,dou—ble wall signと称される.

My Operation—私のノウ・ハウ

低位前方切除術

著者: 福島恒男 ,   大木繁男 ,   土屋周二

ページ範囲:P.625 - P.630

適応と手術
 低位前方切除術(low anterior resection)は直腸癌に対して直腸の切除を後方すなわち会陰や仙骨側から行つていた各種の手術方法(posterior resection of the rectum)に対して,開腹して腹腔内で直腸を切除して,吻合する術式を指している.正確には直腸前方切除術であるが,直腸が省略され,慣用されている.前方切除術のうち腹膜翻転部を境にしてそれより口側で結腸と直腸が吻合される場合を高位前方切除,肛門側で吻合される場合を低位前方切除術と呼ぶこともある.しかし低位前方切除術は直腸を肛門挙筋まで遊離して吻合すると規定している報告もある1).さらに直腸をほぼ全摘除し,肛門管あるいは膨大部下部と結腸を吻合する方法は最低位前方切除術2),あるいは超低位前方切除術3)と呼ばれたり,coloanal anastomosisによる前方切除術とも呼ばれている.
 低位前方切除術でいちばん大切なのは癌の根治性を高めるために切除,郭清範囲を設定すること,次に小骨盤腔内での結腸,直腸吻合を確実に行い,術後の排便機能を確保し,あわせて排尿や性機能についても可能な限り維持するように配慮して行くことである.

Report from overseas

甲状腺機能亢進症の手術的療法とその評価

著者: 李乃新 ,   姜惟龍 ,   許光根 ,   李成日

ページ範囲:P.631 - P.634

はじめに
 近年,甲状腺腫の診療は外科医にとつて比較的容易になつてきた.甲状腺機能の測定には,以前には基礎代謝率やPBIなどが用いられたが,現在ではradioimm—unoassayによつて血中甲状腺ホルモンを直接測定することが可能となり,きわめて正確な値が得られるようになつた.しかし,臨床医はやはり診察室においてまず甲状腺腫大を見つけ,典型的な機能亢進症状があれば,理学的検査でおよその診断を下し,ついで確診のために生化学的検査を行うのが常道である1),臨床上軽症のバセドウ病において,血中T3,T4,RSU.甲状腺放射性ヨード摂取率が正常な場合には,診断を確定することが難しい.この際,最も鋭敏な検査法はTRHテストであり,次いで血中T3の測定である2).最近,画像診断も進歩し,結節性甲状腺腫に対しては超音波検査が行われたり3)201TlCl delayed scan検査4-5)の有用性が指摘されている.そして甲状腺腫に甲状腺機能亢進症を伴えば,機能的な面での検索がぜひ必要になる.
 バセドウ病の治療には,薬物療法,放射性ヨード療法,手術的療法などがあるが,いずれを採用するかは同一施設においても,内科医と外科医により多少異なる.ここでは,当科で経験した甲状腺機能亢進症の手術成績を中心に,検討を加え報告する.

外科医の工夫

食道吻合部狭窄に対するバルーン・ブジー拡張法について

著者: 山根哲郎 ,   相良幸彦 ,   山口俊晴 ,   竹田靖 ,   小島治 ,   藤田佳宏 ,   高橋俊雄

ページ範囲:P.635 - P.639

はじめに
 胃・食道癌術後の吻合部狭窄は比較的稀な術後合併症であるが,原発巣切除により術前に訴えていた嚥下障害が一度消失したにもかかわらず再び狭窄による嚥下障害が発症することにより,患者にあたえる精神的不安は計り知れないものがある.従来,術後吻合部狭窄にたいしては硬性ブジー,ラミナリア拡張法,バルーン・ブジー,内視鏡的高周波焼灼法などの方法がとられてきたが,いずれもその効果の不確実さや手技の複雑さ,さらに合併症などが問題となつていた.
 今回,われわれは最近経験した6例の食道吻合部狭窄例にたいしてCohen-Gray type balloon dilatation catheter(図1)を用いて良好な結果を得ることができたので本法の手技および結果について報告し,さらに吻合部狭窄の発症の原因について考察を加えた.

臨床研究

消化管内脂肪乳剤注入によるCT像の有用性—特に癌の壁外進展の検索について

著者: 松井昭彦 ,   岡島邦雄 ,   冨士原彰

ページ範囲:P.641 - P.647

はじめに
 コンピュータ断層撮影法(CT)は近年めざましい普及をとげ,超音波診断法(US)とともに腹部外科領域における画像診断上不可欠の存在となりつつある.その対象も,最近は実質臓器のみならず管腔臓器にまで拡大し,主に消化管悪性腫瘍の他臓器浸潤の検索に用いられている8,10).しかし腹部CTの画像は,CT値の近似した臓器が隣接している場合両者の識別が困難であるという欠点をもち,そのため膵頭部や骨盤内など多臓器が密接して存在する部位での腸管の同定はしばしば困難であった.この問題に対処するため,われわれは陰性造影剤として市販の10%脂肪乳剤を消化管内に注入してCT撮影を行い,この方法が消化管悪性腫瘍における壁外進展,他臓器浸潤の判定に有用であるという結果を得たので術中所見と比較検討して報告する.

臨床報告

食道顆粒細胞腫の1例

著者: 菊池誠 ,   朝田農夫雄 ,   紙田信彦 ,   長堀順二 ,   岡崎護 ,   渡会敏之

ページ範囲:P.649 - P.652

はじめに
 顆粒細胞腫は1926年Abrikossoff1)によりgranular cell myoblastomaとして初めて記載されて以来,主として舌,乳腺,皮下組織に好発する良性腫瘍として報告されてきた.
 消化管における顆粒細胞腫の発生は比較的少なく,特に,食道に発生したものは非常に稀で,本邦においては,本症例を含めて35例の報告があるに過ぎない.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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