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文献詳細

雑誌文献

臨床外科41巻5号

1986年05月発行

文献概要

特集 甲状腺癌の診断と治療

この診断法でどこまでわかるか—頸部単純X線検査とCT検査

著者: 小原孝男1 金地嘉春1 鈴木恵子2

所属機関: 1東京女子医科大学内分泌外科 2東京女子医科大学放射線科

ページ範囲:P.553 - P.558

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 頸部側方軟線撮影の目的は,主に甲状腺腫瘤内の石灰沈着の有無を知ることである.これは腫瘤の手術適応の決定から質的診断に至るまで非常に役立つ.石灰沈着陰影のうち,とくに砂粒小体陰影に臨床的意義があり,甲状腺癌患者の約22%に検出される.これが認められれば乳頭癌の診断はほぼ確定的である.
 CT検査は,甲状腺進行癌の隣接臓器への浸潤状況を知るに有用である.気管への浸潤は,内腔にまで突出した症例では一見して確認できる,気管の不整な変形,あるいは平滑な圧排性変形でも矢状方向3cm以上に及ぶ場合には浸潤が疑われる.食道浸潤は,食道と癌とが直接に接し,その間の脂肪層が3cm以上にわたつて見えない時には疑わしい.総頸動脈が変形して造影される時には浸潤を考える必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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