文献詳細
画像診断 What sign?・37
文献概要
クローン病のX線所見のうちで最も早期にみられるものの一つはaphthoid ulcerと称される微小潰瘍であり,大腸,小腸,胃病変の初期に単独で,あるいは進行病変に合併してみられる.二重造影によつて描出されたaphthoid ulcerはumbilicationを伴つた小隆起としてとらえられ,病理的には肉芽腫性の炎症により拡張したリンパ濾胞の中心部の粘膜上皮の潰瘍と考えられている.aphthoid ulcerの描出はクローン病の早期診断に重要であり,大腸クローン病と潰瘍性大腸炎の鑑別に役立つ.すなわち正常粘膜を背景に典型的なaphthoid ulcerがみられる場合は,大腸クローン病の可能性が高い.またクローン病の治療として腸切除を行う際に,aphthoid ulcerの存在する腸管を切除範囲に含めることは,その再発を防ぐ意味で重要である.aphthoid ulcerはカンジダ症,アスピリンやエタノールによる食道炎,胃炎および,Yersiniaによる腸炎などでもみられることがある.
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