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文献詳細

雑誌文献

臨床外科41巻7号

1986年06月発行

文献概要

原典を繙く・15

そけいヘルニアの治療について(その1)—エドゥワルト・パッシーニ(王立パドゥワ大学 臨床外科教授)

著者: 山内英生1

所属機関: 1国立仙台病院外科

ページ範囲:P.1017 - P.1020

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訳出にあたつて
 19世紀後半といえばドイツ医学が壮大な前進を遂げ第1期黄金時代を築いていた時である.同時代にはBernhard von Langenbeck,Billrothはじめ多数の著名な指導的外科医が輩出していた.この時代に完成されたBassini法は現在でも広く成人のそけいヘルニアの手術に行われている.有名なドイツの外科の成書,Bier-Braun-KummellのChirurgische Operationslehre,Martin KirschnerのDie Chirurgieはじめ米国や日本における外科手術書にはstandardな術式として必ず記載されている.とはいえ,この時代はまた,消毒法が完成されて間もない時期でもあり,抗生物質など勿論なく現代における一般外科医の常識では想像も出来ない環境である.しかしBassiniは彼の手術法を完成するまでの苦労から,手術術式さらにその後のfollow-upも含めて100年程前に悉く記載しているのである.
 欧米人の名前が残つている症候群や術式などの中には,現在においてもなおcontroversyがあるが故にその名が知られている場合も少なくないがBassini法に関する限りcontroversyを有するものではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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