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文献詳細

雑誌文献

臨床外科41巻7号

1986年06月発行

文献概要

文献抄録

胃切除術後の植物胃石—内視鏡による診断と治療

著者: 下山豊1 石引久弥1

所属機関: 1慶応大学医学部外科

ページ範囲:P.1021 - P.1021

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 胃石は消化管内に発見される外来および内在の物質の塊であり,主なタイプに植物胃石,結石,毛髪胃石の3つがある.1975年来の9年間にわれわれは33人の患者に,のべ38個の胃石を確認した.そのうち男性は14人,女性は19人で,平均年齢は61.5歳であつた.また,29人(87.8%)に胃手術の既往があり,術式別にみると,迷切+幽門洞切除術が15例ともつとも多かつたが,術式別の追跡調査がなされていないので,病因学的に術式を比較検討することはできない.手術より胃石診断までの平均期間は7.7年であつたが,各術式間に有意の差はない.臨床症状としては,不定の上腹部痛と体重減少が多く,特異的な症状はなかつた.内視鏡所見では胃の植物胃石が35個,食道の植物胃石が2個,結石が1個で,毛髪胃石は認められなかつた.小胃石は無症状なので,確認された胃石はいずれもかなり大きく,胃内容の【1/4】以下のものはなかつた.
 胃石の病因としては,不十分な咀嚼,柿やオレンジの過食,胃運動の低下,胃粘膜の変化などがあげられる.この調査によつて,胃切除術後患者に胃石が多発していることが明らかとなつたが,胃手術は胃運動と塩酸分泌を低下させることにより胃石形成の一因となると考えられる.吻合部狭窄は胃内容の停滞をもたらすことにより胃石形成を助長すると考えられてきたが,実際には少数例にしか認められなかつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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