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文献詳細

雑誌文献

臨床外科41巻9号

1986年08月発行

文献概要

画像診断 What sign?・39

Toxic Megacolon

著者: 佐藤豊1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学放射線科

ページ範囲:P.1310 - P.1310

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 toxic megacolon(t.m.)は潰瘍性大腸炎の経過中に起こる最も激烈な病態であり,臨床的には発熱,脱水,血圧低下などの重篤な全身症状と,結腸の広範な拡張による,圧痛を伴う急激な腹部膨満がみられ,腸音は減弱する.t.m.は潰瘍性大腸炎の急性期にも慢性期にもみられる.病理的に拡張した結腸の腸管壁は,筋層および漿膜を含む全層にわたる急性炎症像と壊死を呈し,きわめて脆弱である.腹部単純エックス線像(図)では結腸全体にわたる著しい拡張がみられ,特に横行結腸に著しい.この際,結腸横径の増加は著しいが,長軸方向への延長はあまりみられないのが特徴であり,拡張部のhaustraは消失する.t.m.を起こして脆弱になつた結腸は穿孔を起こすことが多く,腹腔内に遊離したガスが臥位の撮影では拡張した腸管内のガスによつて隠される場合があるので,立位,臥位側面,あるいは側臥位正面(デクビタス)撮影をあわせ行うべきである.t.m.が疑われる時には注腸は禁忌である.潰瘍性大腸炎とともにt.m.の原因となる疾患を表にあげる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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