文献詳細
文献概要
特集 癌術後follow upと再発時の対策
膵臓癌
著者: 今泉俊秀1 羽生富士夫1
所属機関: 1東京女子医科大学消化器外科
ページ範囲:P.1543 - P.1548
文献購入ページに移動はじめに
膵癌の早期診断が未だ困難で治療対象の大多数が進行癌であること,また一方では有効な内科的治療法がないことから,現在では膵癌に対しては外科的治療を第一選択とせざるをえないが,その治療成績は他の消化器癌に比べ極めて不良である.
膵癌は容易に周辺重要臓器や血管系,神経系,等の後腹膜に進展することが特徴的で,これらを切除すべく拡大手術1)を積極的に導入してきた.拡大手術により治癒切除がえられても,肝転移や局所再発で失うことが多く,また,非治癒切除の半数が膵後方剥離面癌遺残(ew(+))であることは,拡大手術の限界とも言えるが2,3),現実には治癒切除例の50%生存期間が18ヵ月,3年生存率29%と,わずかではあるが確実に遠隔成績が向上してきている事も事実である.これらを支えに,膵癌に対しては拡大手術を武器として可及的に治癒切除を追求する努力を続けてゆかなければならない.本稿では教室における膵癌外科治療方針と切除術後のfollow upのフローチャート,再発時の対策とについて,膵頭部癌を中心に述べる.
膵癌の早期診断が未だ困難で治療対象の大多数が進行癌であること,また一方では有効な内科的治療法がないことから,現在では膵癌に対しては外科的治療を第一選択とせざるをえないが,その治療成績は他の消化器癌に比べ極めて不良である.
膵癌は容易に周辺重要臓器や血管系,神経系,等の後腹膜に進展することが特徴的で,これらを切除すべく拡大手術1)を積極的に導入してきた.拡大手術により治癒切除がえられても,肝転移や局所再発で失うことが多く,また,非治癒切除の半数が膵後方剥離面癌遺残(ew(+))であることは,拡大手術の限界とも言えるが2,3),現実には治癒切除例の50%生存期間が18ヵ月,3年生存率29%と,わずかではあるが確実に遠隔成績が向上してきている事も事実である.これらを支えに,膵癌に対しては拡大手術を武器として可及的に治癒切除を追求する努力を続けてゆかなければならない.本稿では教室における膵癌外科治療方針と切除術後のfollow upのフローチャート,再発時の対策とについて,膵頭部癌を中心に述べる.
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