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文献詳細

雑誌文献

臨床外科42巻2号

1987年02月発行

文献概要

文献抄録

バレット食道の腺癌発生のリスク

著者: 山科元章1

所属機関: 1埼玉医大外科病理

ページ範囲:P.235 - P.235

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 米国の食道癌発生率は,ミネソタの統計を例にとると,人口10万人に対し男性8.5,女性2.3の数値が報告されている.この食道に発生する癌のほとんどは組織学的に扁平上皮癌であるが,近年約20%を腺癌が占めるようになつてきたと言われている.さて,バレット食道と呼ばれる,食道の上皮が円柱上皮で置き替えられた部分は,食道腺癌の発生母地になるものと従来から考えられている.バレット食道とは,1950年にN.Barrettが命名したもので,顕著な逆流性食道炎の結果,正常の食道扁平上皮が破壊され,胃酸に抵抗力のある円柱上皮に置き替えられた後天性の病変である.これまで食道腺癌とパレット食道の関係が文献上でも論じられているが,両者の合併頻度あるいは癌発生の危険率については,報告によりかなりの数値のバラツキが認められる.この点に関して,Mayo Clinicで1979年までのバレット食道を有すると診断された122例が追跡検討された.この報告で,バレット食道の定義は,円柱上皮に置き替えられたと組織学的に確認できる病変部が,内視鏡的に胃噴門より7cm以上離れ,門歯から32cm以内の食道にあることが証明できる例としている.122例中18例に,バレット食道診断時に食道原発腺癌の共存が認められていた.
 さて,残る104例は診断時,平均年齢59.6歳で70例の男性を含んでいた.その多くが,食道中部の狭窄感・嚥下困難・胸やけを訴えていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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